11/30(火)15時。東京建物ブリリアホール。

東京初日です。友の会の当選。初日は当たることがちょいちょいある印象。

2階B列センターにて

月組出島以来のブリリア


梅芸が先でしたから、お客さんも2回目以上の方がそこそこいる感じの反応でした。笑いの起こる所がこなれ過ぎてる?というか、リードされてる感じがしました。チケ難公演と言われてましたが、いつものことながらあるところにはある。


初めての私にとって驚きだったのは、舞台のセット!幕が開いたとき、(えーー?なにこの建築物)というのが第一印象。3階建てくらいの建造物で、更に驚いたことに主人公の登場はそのてっぺんのベッドの上から。真剣に落下事故とか心配するレベルの高さで…

ききちゃんは幕開きからそこにスタンバっていたということですね。

このセットは箱を積み重ねたような形をしており、なんだか寄せ木細工のからくり箱を思い起こさせました。回ったり壁が横にスライドしたりして、その度に場面が変わっていくのを見るのはとてもおもしろかった!

舞台の板の上だけでなく、そのセットの上でもお芝居が進みますので、2階3階でも手すりや前のかたの頭が邪魔にならず見易いと思います。


さて逆回しのようですが、最後のご挨拶でまっぷーが「映像に残らないこの作品」と紹介したのが刺さりました。まったく一期一会の演者と観客、一瞬一瞬を楽しまなければ!


ポスターもおしゃれキラキラ


よく知られた『アパートの鍵貸します』(1960)の映画が下敷きですし、登場人物もそう多くないのであらすじはスンナリと入ってきます。

おしゃれなコメディに仕上がっているものの、改めて考えてみると、ナンセンスだらけ。何人もの所帯持ちの上司が不倫していたり、その情事の場所に自分のベッドを貸したり、とさすがにあり得ない。笑ってる場合か?みたいな状況じゃないですか?もちろんそれに憧れてるわけでもなく、称賛されてるわけでもなく、こそこそと隠れて行われてるし、だからこそ脅迫ネタ?となって昇進の見返りがあるわけなんですが、そういう汚い部分を見過ごしてしまうほど、軽快で邪気のない楽しい作品です。


まっぷーとしどりゅーとりっつとたっくんの自己都合最優先の上司グループが、まったく勝手すぎて笑えるし、愛海ひかる、あられちゃんの代役のるいくんが全ての注目をかっさらう。とぼけた隣人、医師役のまゆぽんの絶妙の間に上質の笑いが起きる。同期が三人もトップになって、去就が注目されていた95期の一人。引き続き専科として舞台に観ることができて、惜しい才能が活きて本当によかった!

ちなみにこの上司グループ、ちょっと前なら美月悠さん、星月梨央さんとかがやってたはずで、おじさん班だいぶ若返りましたね。


プログラムは変更が間に合わなかったのか、マージのビジュアルはあられちゃんのままで、本人的には残念この上なしえーん  逆にるいくんは2幕からマージとして登場するや客席の注目を一身に浴びる役で、ほんとに儲けものでした。もちろん実力者ですしなんにも不安はありませんが、時の運とは言え、明暗が別れましたね。るいくんの二役ならではの、ききちゃんチャックがフランの兄カール(るいくん)に向けるセリフ、「あのー?妹さんて一人だけで?」というのが、ケガの巧妙で笑えます。不思議なことにマージと瓜二つのカール(笑) 、そりゃ本人ですからね。


チャックの想い人みねりちゃんフランは、上司と不倫をしているもののなんとも憎めない可憐さ。ただただそら、シェルドレイクが好きでたまらないだけというのがいじらしい。


そしてその人事部長シェルドレイクは、妻子がありながら次々と不倫相手を変えていくような、冷静に考えればかなりのクソオヤジ(失礼)なんですが、若い女の子が惹かれてもしかたないよな~と思えるナイスミドルっぷり。まっぷー達ほかの管理職のようにオタオタするところもヘドモドするところもなく、自信にあふれ、ただ愛してるものを愛してると言ってなにが悪い?みたいな傲慢過ぎるオレ様的な態度がまた逆にステキに見えちゃったりして。そらくんのドスの効いた滑舌のいい声と、どちらかと言えば小柄なのにやたらに似合うスーツ姿に若い娘でなくても惚れ惚れしてしまいますね。ハイ、やられました。

この作品が宙組最後。1月には雪組で。更なる活躍を期待してます。


そして主人公たるききちゃんは、膨大な量のセリフと歌を軽やかにこなし、コメディエンヌの本領発揮。

名前も覚えてもらえない地味な会社員という設定だけが納得できない(笑)。ムリありますよね、あんなスマートな人がいたら社内で女の子たちの噂になること受け合いでは?

大劇場公演だと、主人公の好敵手として重い役や複雑な役を振られることが多いので、いつも眉間にシワを寄せている感じですが、プロプロでは本当に楽しんでいるのが見ていて幸せです。もはや盤石というか、円熟の極みというか、ただ落ちてくる果実を待つのみ。

想い人フランも最後は不倫関係を清算してチャックの胸のなかに。

大団円はこうでなくちゃ!


最後にちょこっと情報で、クリスマスパーティーの飾り付けは出演者一同で手作りしましたとの紹介がありました。みんなで画用紙を切ったり色を塗ったりしたそうで、カンパニーの懇親にも一役かったのでしょうね。

クリスマスシーズンらしいハッピーな作品に、更に彩りを添えるこぼれ話にいっぱい拍手をおくってきました。