3/30、13時半公演。珍しくS席続きました。一階かなり後方の上手。前の席の方の間から舞台のセンターがすぱーんとよく見えて、上手はすこし欠けましたがなかなかの良いコンディション。

 

先週末、娘があるアーティストのライブに出かけたのですがエプロンステージの真ん前でしかもかなり前の席だったのでオペラも使わず堪能してきたとのこと。「実際に近くで見ると、(推しが)本当に生きてたんだなと感動するね」というため息混じりの感想を聞きながら、私が思ったのは別のことでして。劇場という同じ空間に座していますが、ジェンヌさんたちって同じ空気を吸って「ここ」に生きている気がしないような…?手の届く距離にいながら、やはりどこか別次元に息づいている感じがすると言ったら、夫が「宝塚ってそうだよね」と同意してきて、え?!びっくりなんかわかったようなことを言いますね?w

今日客席に座って観る舞台の上では、やはり同じ世界に生きているとは思われない美しい人々が、歌ったり踊ったりしていましたっけ。初心に戻って引き込まれた気がします。


エネルギーを発する巨匠お三役と比べると、今回ずいぶん抑えた芝居をしているあーさ、パリで革命が起きてベートーヴェンに「きみも行くんだろう?」と尋ねるシーンの歌唱は丁寧でとても良かった。芝居の反動なのかショーではエンジン全開なのだが、ちょっと押し出し過ぎかも?(笑) 今のところは、勢いがあっていいとも言えるけど、今後はもっといろいろな引き出しを見せてくれると嬉しい。ギラギラもだいじですが、ぜひキラキラでもお願いします。


咲ちゃんはいよいよ次期トップという貫禄が感じられるようになってきた。不思議だな~。毎日同じ公演をやっているのに、次第にバトンパスが自然な感じがしてくるのはどうしてだろう?恵まれた上背と長い手足、華のある佇まい、空気を抱くようなダンス、組む度に希和ちゃんとは本当にしっくりなじんできてる。本来の優しげな雰囲気が、相手役を見る表情が更に柔らかくなって包み込むような大きさを感じる。彼女が大羽を背負うのももうすぐなのが、ごくストンと胸に落ちる。スムーズに禅譲が進んでいるということなのか?

望海さんのいなくなる日が、実感をもって胸に迫ってくる。「忘れな~いで」と銀橋を渡りながら彼女が歌うとき、毎度涙がにじんできて、舞台の前に並んだ組子の視線が望海さん一点に集中しているのをオペラで下手から上手へ流して見るとき、途中から涙で見えなくなってしまう。

最後の日も必ずくる。もうすぐ。

千秋楽の幕が無事に降りることを心から願いつつも、終わってほしくない葛藤と争っている。


今日は大学時代の同級生と一緒でした。たまたま別の席で同公演を観劇していた、他の同級生とも劇場の外で落ち合って立ち話ができました。

勉強好きで、よくものを知る人たち。

なん十年も途絶えていた交流を復活させてくれたのは宝塚。人生の後半にまた彼女たちと巡りあえるとは!電話と手紙しか連絡手段のなかった当時、卒業後はそれぞれの人生のステージを懸命に生きてきて、お互いに消息がわからなくなった人たちもたくさんいます。女性は特に、配偶者の去就に振り回される人生が普通だった世代です。思いがけないことから交流が復活して、今時々のおつきあいを楽しめるのが信じられないほど至福。おねがい


「人生は幸せだった~!」と芝居のラストで叫ぶ望海ベートーヴェン。

彼女のその言葉は、いろいろな意味で私にカタルシスをもたらします。劇場を出る時は正に幸せを抱いて赤い階段を降りてきます。気持ちは退団生徒?ですかね(笑)


3月もあと1日。あと17公演…

まだ何回か観劇できそうです。

幸運に伏して感謝。m(__)m