3/25(木)13時半公演。2階S席下手。

月火水と三連勤がんばって、木金と曰比谷。

幸せです。


今日はfff の緊迫感の謎にせまってみます。


幕開けは穏やかに天国の場面で始まりますが、大音響と共にベートーヴェンが登場してからは、回転する盆と上下する一番大きなセリに目の焦点を失います。誰かに絞らないと並の人間は混乱するばかりに。私の場合、ベートーヴェンとゲーテを追っていたので、ナポレオンがどこで何をしているのか、今日まで目の端に時々入る以外追えていませんでした。静のゲーテと、とにかく目立つトップスター様は追いやすいのですが、改めて咲ちゃんナポレオンを追ってみると、いや、フランス軍動き過ぎでしょ?全部で何人いるのか正確にはわかりませんが(10人~?)あっちで踊る、こっちで進撃と、そのフォーメーションたるや、、、。そしてプロローグの最後で、咲ちゃんナポレオンが三色旗を背に、せりあがった舞台の高いところに立つ姿は最高にかっこいい。ところで、いつからそこに立ってました?見ていたつもりでしたが、いつの間にかまた見失っていたようです。びっくり

最後にサーっと幕が降りると、それはベートーヴェンの「交響曲第三番(英雄)」を披露したコンサートの幕が降りた、という場面転換になっていて、指揮台に立つベートーヴェンに集約されるという、絶妙のシーンにつながるのに唸らされます。


こういう盆をつかった場面転換はほかにもたくさんあって、たとえばベートーヴェンの住まいで謎の女とやりとりするところからナポレオンの陣中でのゲーテとの邂逅に至る所にも用いられていて、「ナポレオン!地獄に落ちろ!」と砲撃の続く外に向かってベートーヴェンが吐き捨てる場面が葬送行進曲の中で時計と逆回りに消えていくと、ゲーテが右上に立っているという自然な流れでナポレオンの指令室内に導かれる。そしてそのシーンの最後にナポレオンの「余を毎夜さいなむ問いは、進むべきか否か」という独白に答えるように、ベートーヴェンの「否!!」という作曲に打ち込む姿に繋がり、ベートーヴェンの住まいに移る。みごとです。


また、耳の聞こえないことがわかって人々が去っていき、失意に沈むベートーヴェンが「ボンに帰ろう」というときも、歩いているうちに盆も回りロールヘンの葬儀のシーンに繋がっていくのも、旅をしてきた風に描かれていてストンと胸に落ちます。

盆の使い方最高ですね。


やたらに暗転の多い演出の作品もありますが、fffではほとんど暗転がない。パッと明かりが消えて演者が走り去り、緞帳が降り、その裏でバタバタ片付けやセッティングが行われている音が聞こえてつぎのシーンまでしばらく待たされる、という(よく言えば)ちょっとした観客側の息抜き?が許されないので、観客は常に緊張している。観終わったあと、すごく疲れたと感じるのはたぶんこれが原因の一つかと。演者と同じ速度で場面に引き込まれているので一緒に走りきった気分です。しかしウエクミ先生、ゲーテの言うように「あなたの速度で皆は走れない」のですよ?(笑)

でも私は、こういう緊張感、きらいではないです。


幸運なことに何回か観劇を重ねていますが、毎回感じることや気がつくことは違います。

今日一緒に観劇した友人は、兵庫の千秋楽の配信は見ていたものの、生観劇は初。「配信とは別物だった」という彼女の言葉が全てだと思います。


そして今日もまたフィナーレで泣きました。

それだけはお約束ですかね。