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一人旅は九州に行くことにした。震災のあった熊本や発砲事件が多発すると言われる北九州、そして美人と屋台の街博多に行くためだ。

まず初日は羽田空港から山口県の山口宇部空港まで飛んだ。携帯を紛失したイランに行った時以来の飛行機ということで否が応でも緊張感が走った。だが乗車時間約1時間半とあっという間の空の旅であった。
空港に到着して外に出ると抜けたような青空が広がり直接九州に行かなくて良かったと思った。
というのも今回の行き先としての目的は上記の場所だが田舎の自然とローカル線を存分に楽しむということが裏目的というか行き先以外の目的だった。しかもこの空港は歩いてすぐに宇部線という超ローカルな路線が走っている。早速行ってみるがつい5分前に電車は行ってしまい、次の電車は1時間半後だというのだ。
仕方がないので電車を待ちつつその日の宿を探そうと思った。ここでさらに裏目的なのだが今回はゲストハウスに泊まることも目的だった。人見知りでコミュニケーション不足な僕がゲストハウスや博多の屋台で色々な人と交流するというなんとも身の程知らずで恥ずかしい目的というか目標に近いものを掲げていた。
だが旅行シーズン真っ只中の8月と土曜日ということもありどこも空いていなかった。
今日は野宿か漫喫を覚悟してようやくきた黄色い宇部線に乗車した。
車窓に流れる景色と地元の人のゆったり流れる時間にコンクリートジャングルで汚れた心が浄化される音が確かにした。

宇部線から山陽線、九州に入り小倉から鹿児島本線に乗車し、18時半過ぎに博多に到着した。
朝から何も食べていない事もありとりあえず屋台でラーメンを食べることにした。
ガイドブックには初心者は天神がいいと書いてあるので素直に天神に向かい、良さそうな屋台を探した。
しばらくみると綺麗目の女性がポツンと座っていてしかも隣が空いている屋台を見つけた。
ここしかないと思った僕はそこに座ったがここは外れだった。その女性はその店主の知り合いでこちらには見向きもせずそれどころか冷たい視線を向けてくる。そのうち仲間も集まってきてかなり居づらい状況になった。ラーメンとビールをかきこんで急いで店を出た。あの店は女をゴキブリホイホイのように利用して観光客を集めているだけだった。
思わぬ洗礼を受けた僕は一旦宿を探そうと行動した。事前に東横インなら空いているという情報は得ていたので突撃してみたら一部屋だけ空いていたのでそこに荷物を置き、博多に屋台でなんとか一旗揚げようと街へ繰り出した。
次に入った店はとても気さくな夫婦が営んでいる店で客層も観光客が多い。店主も話しかけてくれて隣のおじさんとも仲良く会話することができた。
ただ年配の方が多かったのでできればもう少し若くてできれば女性と話したかったと思い、申し訳ないが店を移った。あと訛りとアルコールによる呂律の回らなさで半分何を言ってるのか分からなかったのだ。

そのあとも幾つかの店に入ったがやはり周りは複数で来てる人達ばかりでなかなか会話ができない。酒も飲んでいて、特に知ってる人がいるわけでもないのにここまで来てコミュ障が発揮するのはとても自分が情けなく惨めに思えた。
いつになったら恥とプライドを捨てられるのだろうか。
そんなことを思いつつ時間も11時を回ったのでそろそろ最後の店にしようと入った店があった。もう飲めないのでソフトドリンクと勧められるがままに頼んだ謎のベーコンを飲み食いした。
外にいた客引きのおじさんがいい人でどこから来たと?と話しかけてもらった。
ただ今回も雰囲気にのまれて自分から行動を起こすことはなかった。
と、その時である。隣の男性が
「横浜からいらしたんですか?」と話しかけてくれた。
何故か神様にみえた。

そこからはその男性と一緒に来てたご両親と色々話して今日がエグザイルのライブだということを知った。また、熊本から来たとのことで僕が次の日に行く予定であり、オススメの場所を聞いたりもした。いや、特にないです…というような反応だった。そしてその男性は22歳という事も知った。自分より遥かに大人な対応で自分のしょうもなさも思い知った。
その親子が席を立ち、ぼくもそろそろ謎のベーコンを食べてる帰ろうと思っていたところだった。

その親子が座っていた場所によって2人の女性が座った。この時の僕の気持ちを想像して欲しい。
おそらく先程の男性は本当に神様でぼくにプレゼントを置いていってくれたと思った。
女性2人は水とラーメンを頼んだ。
すかさず僕は水は無料なんですか?というわけのわからない質問をした。
となりの女性が微笑みながらそうですねと答えて重ねて今日はエグザイルのライブでしたか?と知ったをした。
ただどうやら違うらしい。
「え、じゃあなんですか?」
「ジャニーズです」
「ジャニーズのなんですか笑」
「当ててみてください」
幸せだった。これまでの屈辱と自分への自虐がすべて吹っ飛んだ。
ちなみに正解はHEYSAYJAMPであり、舞い上がった僕はSMAP?というひとボケをかましたあと適当に答えて正解してしまった。もう少し遊ばなかった自分に数時間後怒りを感じた。

その後はどこから来たのかや年齢など自分とは思えないほど頭が回転していた。
ちなみに1人は山口県出身で現在は川崎に住んでいるらしく、もう1人は北九州出身で現在も北九州に住んでいるらしい。訛りが非常に可愛かった。どこから来たとですか?って本当に言うんだなとしみじみ感じていた。
そして現在は大学2年生の19歳だった。そんな子たちとこの時間に飲めるなんて(ノンアルコールだが)本当に来て良かったと思った。
夢のような時間があっという間に過ぎてそろそろ帰るか雰囲気になった。僕がお会計を済ましたあと彼女たちもお会計をして一緒に店を出た。

宿は逆方面だったので交差点で別れた。
非常にいい気持ちでウキウキしながら東横インに戻りシャワーを浴びてベッドに横になった。
酔いも覚めたころあることに気がついた。

連絡先を交換してない。

これはビビってたわけでも気を使ってたわけでもなくただ単純に忘れたのだ。これは言い訳と捉えてもらっても構わないが本当に忘れただけだった。
思い返せば交換するチャンスは何度かあった。
山口出身の子は横浜の家系ラーメンを食べたことがないと言っていた。ここは一緒に食べようというところだったのにスープがこってりだからやめた方がいいなどそんなとこで生真面目さ出すなよとつっこみたくなることを言っていた。
また、北九州出身の子は門司の焼きカレーを食べてと言ってくれた。そこで明後日行くからオススメ教えてと聞く事もできた。
横浜にもアリーナや日産スタジアムがあるからたまにくるとも言っていた。横浜に来たら連絡してよと言えよ!!!なにがへぇーだよと今になって思う。
ただ何度も言うが僕の頭から連絡先交換という概念が削除されていたのだ。
この時間が本当に楽しくて純粋な気持ちで会話ができたということだったのだと思う。
この瞬間を心から楽しんで変な下心はゼロだったまさに甲子園球児のようだと言ってもいい。
ただその結果として、彼女達とは2度と会えなくなってしまったし中国九州での知り合いもなくなってしまった。
気がついたときには頭を抱えてベッドにうずくまっていた。
2度とこのような失敗は犯してはならないと心に誓い眠りについた。

このあと3日間旅は続きますがこの日の最後の屋台での出来事がこの旅最大のハイライトである。