9/30~10/4 ミュージカル「ドリアングレイ」を見てきました~♪





この「ドリアングレイ」の舞台。

背景とか照明とかセットとか動きなんかで思ったことを書いておきたい!




このミュージカル、背景に映像が使われることが多いですよね。

豪華なセットは、あまりなく、背景が映像で、手前にちょっとしたセットがあるという感じ。

あと、結構、背景が真っ黒とか灰色だけっていう時が多かったんです。

最初見た時、それが、ちょっと物足りないなーなんて思っていたんですが・・・。

いろいろ考えてみると、すごく興味深いんです!



重厚なセットがあると、リアル感が出ると思うんですけど、

この「ドリアングレイ」は、観念の世界というか、哲学的ですよね。

だから、あえて、背景に黒を多く使っていたり、

映像という立体感のない感じを使っているのかなと思ったんです。

精神世界を表してるっていう感じ。


舞台美術だけでなく、演出にもそんな意図があるような気がして・・・。

ちょっと、まとまらないので、思いつくままに書いてみたいと思います。

ど素人の勝手な感想なので、その辺はお許しくださいね。






ドリアンの登場シーン。

真っ暗な舞台の上に、光の道が一本、奥から手前までずっと続いているんです。

そこを真っ白な服を着たドリアンが踊りながら進んでくる。

途中、白いピアノを弾いたりして。

ダンスも幻想的だったけど、その風景もとても幻想的だったし、

その光の道がドリアンの魂の美しさや純粋さを表しているようでした。



実は、2幕の冒頭のシーン。

「넌 누구(お前は誰だ)」でドリアンと肖像画が対決する場面の時も、

ドリアンは、真っ暗な舞台の中、同じような光の道を奥から歩いてくるんです。

でも、この時は、その光の道が、肖像画の大きな枠のセットで途切れているんですよね。

そして、ドリアンの衣装は、黒のベストとパンツ。

本能のまま、良心を忘れて生きようとするドリアンを表してるのかなと思いました。

でも、白のシャツを着ているところが、後悔と懺悔なのだろうか?




なんだか、この二つの場面が同じ構図だったのも面白かったけど、

白と黒だったり、光の道が途切れていたりと、対照的だったのが、とても印象的でした。














真っ暗な背景で印象的だったのが、シビルがドリアンに捨てられたシーン。




この真っ暗な背景の左側に濃い紫の緞帳があって、

紫の緞帳、黒い背景、白い(銀かな)髪とドレスのシビル。

ものすごいシンプルなんだけど、1枚の絵のように美しくて。

でも、暗い海の底のような、深い闇のような感じで。

絶望って言葉が脳裏に浮かんで、ちょっと怖かった。

だけど、すごく印象に残ってるの。









そんな真っ暗な精神世界を表した背景もあれば、

映像を使った美しい場面もありました。






ブランドン夫人の邸宅でのパーティの場面。



ちょっとこれは、違う映像なんだけど・・・。



ブランドン夫人の邸宅の場面に切り替わる時、

まず、こんな感じの室内の背景がモノクロで表れるんです。

ライトも白と黒だけ。

で、ナンバーが始まって、ブランドン夫人やアランが前に出てくると、

その背景に色が入って、照明にも色が入るの。

そして、さらに、その映像の前にセットが降りてきて、

ブランドン夫人のパーティ会場が出来上がるんです。

なんか、最初にモノクロにしているところが、リアル感を無くしてる気がして。

遠い昔のことのように感じられるっていうか。

場面が浮き上がってくるっていうか。そんな感じ。


あ、これ、私の勝手な感想なのでー。全然違うかもしれないですー。





最終的には、こういうセットの背景になるっていう。

結構、凝ってるなーって思いました。

視覚効果をものすごく考えて、作られてるなーって。




他にもオックスフォードクラブでは、セットと映像の融合って感じで、

柱はセット、その他の背景は映像みたいな感じ。

そして、外に飛行船が飛んでいたりと、映像を駆使してた。






あと、映像をフル活用しているのが、ドリアンのソロナンバー。

「또 다른 나 (もう一人の私)」






これは、背景に映像。

舞台手前にもスクリーンが降りてきて、そこにも映像。

そして、その間の舞台にドリアンがいるって感じでした。

映像が二重でドリアンが2人いるんですよね。

実物入れたら3人か・・・。

まあ、斬新で面白い手法だと思いました。


でも、やっぱり私は、背景としての映像はいいけど、

ドリアンが舞台から引っ込んでしまうのは嫌よー。

やっぱり、その歌を歌う時の表情を見たいんですよね。



ウンテさんの「who is dorian?」も、背景はMVの映像が入るんですけど、

その時は、背景だけだし、

ウンテさんが、背景のMVと同じ動きするんですよ!

それは、すごく良かったです~。

ドリアンの方もそういう感じだったら良かったのになと思いました。



このシーンですね。







あと、季節が巡っていく様子を雪が降ってくる映像で表現したり、

ドリアンとの回想シーンを入れて、昔のことを思い出している感じを出したり。

チェコのお城。庭の木々の緑。満天の星空。

いろんな場面で効果的に映像を使っていて、

全体的に見れば、映像ならではの視覚効果があったと思います。

なにより、美しかったな。




ドリアンとの美しく懐かしい日々を思い出すヘンリー。

ヘンリーの回想シーンとして、こんな感じの映像が出てた。









そして、その反対に映像ではなく、大きなセットが出てきたのが、ドリアンが淫売窟で快楽に溺れるシーン。




大きな鳥かごのようなセットの中でうごめく半裸の人間たち。

とても生々しくて、現実的でした。


このシーンは、この場所に出入りしているドリアンをバジルが見てしまうシーンなのですが、

それまではバジルは、

「まだ(ドリアンがそんな人間だとは)信じられない。」って言っているんです。

でも、そんなドリアンを見てしまって、現実を知る場面なんですよね。


ちょっと深読みしすぎかなとも思うけど・・・。

映像ではなくセットを使うことによって、現実を知るバジル同様に観客にもリアル感を見せてるのかな~なんて思いました。


まあ、そんなストーリーに関係なく、このシャリアンのカッコ良さにはノックアウトでしたけど。

このシャリアンを双眼鏡でロックオンしながらも、後ろをチラ見する時の忙しさったら!!

半端なかったわ~っ








あと、大きめのセットとしては・・・。




シビルの楽屋。


これ、何気に好きなセットだった。









ドリアンの屋根裏部屋への螺旋階段。







シビルとドリアンの愛の歌のシーンの大きな階段。










ドリアンの肖像画を思い起こす大きな枠。











仮面舞踏会の大きな階段。


これ、ドリアンとヘンリーが登場してくるのがめっちゃカッコいいのよ~










そして、本当に邪魔だった窓枠


これ、後ろにだけあったら邪魔じゃないんだけど、

サイドに何枚も出てくるのでねー


これ、減らしてほしいなと思いました。











そして、そんなセットや背景や俳優さんの動きまでが、

すべてマッチして一つの世界を作り出していると思ったのが、「Life of Joy」。

本当に素晴らしい~っ!って思いました。




Life of Joyを歌う3人。


この時の背景は、黒。

そこに、渦のような煙のような模様が渦巻いていて。

3人の複雑な心理や不安、混沌とした感じを出していたと思います。






この「Life of Joy 」が圧巻だと思ったのは、

そんなシンプルな背景の前で繰り広げられる3人の心情の交錯。

もちろん、歌声もものすごく素晴らしいんです!

さらに3人の動きが、すごく心情を表してると思ったの。



歌詞に合わせて、

ヘンリーとバジルが対峙して歌い始めて、

そこにドリアンが真ん中から入ってくるんだけど、

ドリアンはヘンリーに近づいていくんです。

でも、それをバジルが引き戻し、


ドリアン♪涙のない成功が何の役に立つのだろうか♪

バジル♪涙のない悔い改めと見せかけの懺悔 偽りの痛み♪



バジルとドリアンが対峙して激しく歌いあいます。

この時、引き離されたヘンリーはドリアンに手を差し伸べてるんだけど、

ヘンリーもこの時には少し自分の夢は無理ってことが分かってきてるから、

最初の頃のような強引さがなくなっていて、

差し伸べた手をためらって下に落とすんですよね。





でも、やっぱり割って入ってくるヘンリー。


ヘンリー♪快楽 人間の頭の中の罪悪に過ぎない♪

ドリアン、ヘンリー♪苦痛 不幸な魂の言い訳に過ぎず♪



共鳴するヘンリーとドリアン。

手を差し伸べあうの。

そして、ドリアンは、自分の意志でこの選択をしたと言い、


♪恍惚とした時間 純粋な思い出 Life of Joy ♪


最後には、こう歌うんですよね。

結局はバジルの説得はむなしく、

最終的には、ドリアンとヘンリーが向き合い、

その真ん中にバジルがいるという構図に。

歌もドリアンとヘンリーが一緒に歌い、バジルが違う歌詞を歌うって感じ。



歌詞と背景と3人の動きが見事にマッチした素晴らしいナンバーだと思いました。


でも、このナンバー。

ドリアンは自分の選択だ!って強く言ってるんだけど、

ヘンリー(快楽)とバジル(良心)の間で揺れ動いている気持ちも表れてるなと思ったんです。

背景の煙みたいなうごめいているものは、そんな混沌とした感じを表しているのかなと。

それで、なんか、すごく胸が痛くなって、泣けてきました。

ああん。上手く説明できないけど、これから見る人は、そんな3人を全体的に見てほしいわー。

背景まで含めて・・・。






こうした心の動きに合わせた動作や動線を感じたのは、他にもたくさんあって。

前の記事で書いたヘンリーが最初にドリアンへ意識の支配を始めたシーン。

ドリアンがバジルを誘惑するシーン。

2幕冒頭の肖像画と対決するシーン。

1幕の最後のシーン。などなど。

これらのシーンについても深く語りたいんだけど、めちゃくちゃ長くなるので、また今度。



やっぱり、ドリアン、バジル、ヘンリーのナンバーでは、その心情を歌うナンバーが多いので、

観客がその感情に入りやすいように、動作や動線をわかりやすく見せてるのかなと思いました。

ちょっと説明が難しいんだけど。

ああ!そういうことなんだ!って思う動きがたくさんあったってことなんです。










あと、衣装ね!

衣装が素敵だった~っ


特にドリアンの衣装が好きよ~っ


ほとんどMVやチェコの映像に出てくる服だったかな。

実際に見ても、素敵な衣装ばかり。

全部好きだけど、ベスト3はコレ!




この衣装の時のドリアンが、キラキラ輝いていたのも好印象だったわ~








これ、シビルの劇場に行った時の衣装。

チェコのインタビューの時の孔雀の羽の襟のやつね。

劇場のバルコニーでヘンリー達と観劇しているシーンがあるんだけど、

その時、この衣装がすごく映えるの。

キラキラ輝いて見えるの~。

うっとり







そして、バジルを誘惑する時に着ているガウン。

これ、白いガウンに黒い刺繍なんだけど。

歌に合わせて、ドリアンがバジルの後ろで、

左右に動いて、手を広げるっていうか、あげるんだけど、

まるで蝶がヒラヒラ舞っている様だった。

白いのに、黒い蝶に見えました。

壮絶に色っぽかったよー






ウンテさんのシンプルで上品なスーツも素敵だったわ。

お尻の隠れる丈のやつ。



はああああ


何回見ても素敵だわ~っ






バジルの衣装は地味だったけどね・・・。

てか、ほとんど変わらない・・・。

ジェウンさんも言ってたよね。可哀想だから写真をアップしてあげよう。











またまた、めちゃくちゃ長くなってしまった!

ここまで読んでくださって、ありがとうございます~













一番最初に見た時には、分からなかったところがたくさん見えた2回目のドリアングレイ鑑賞。

見れば見るほど、ハマるミュージカルですね。

毎日見たいよ~っ