チューナー、便利な道具です。
昔は、周りで音を出している人がいると、なかなか自分の音を拾ってもらえませんでした。
しかし、今ではチューナーに接続したマイクを楽器につけて、周りの音を気にせず使うことが可能になりました。
今では、どこの学校に行ってもチューナーを譜面台に置き、マイクを楽器につけている光景を見ます。
しかし、それでいいのでしょうか?
私自身は、チューナーに頼りすぎるのはあまりいいことには思えません。
たまにこういう光景を見かけます。
チューナーをセットし、チューニングしたい音を出します。
メーターの針を見て、針が0を指すように「口で調整」します。
主管を抜き差しして調整します。
チューニング終わり。
チューニングというのは、自分が一番良い音を奏でて楽器を調整することに意味があります。
今の例では、抜き差しした後に良い状態でチューニングができているかどうか確認していません。
まぁ、これはほんとにひどい場合で、大概は吹きなおして一発で針が0になるようにしていますが、それでも根本的な問題があると思います。
それは「耳で音程のズレを判断していないこと」です。
針を「目で見て音程のズレを判断している」ことが問題なのです。
これでは、全く耳が育ちません。
私自身もチューナー、マイクともに持っていますが、マイクは使いません。
基準音を鳴らして、それを聴きながらチューニングをします。
メーターを使ったとしても、合わせた後に確認するくらい。
それよりも、電子メトロノームとして使う方が多いです。
このチューニングのやり方が身についたのは私が高校生の時。
チューニングは基準音を鳴らして、とにかく聞いて合わせることが徹底されていました。
もしチューナーを使ったとしても、あくまで本人は自分で一番いい音を鳴らして、ほかの人が横でメーターを見て音の高低を告げます。
それで、耳で音を判断することができるようになりました。
今の子たちは恵まれています。
私が学生の頃は、チューナーは大きい筆箱くらいの大きさがあり、角型の乾電池で、価格も2万円くらいしました
しかし、今は携帯電話より厚みがあるくらいで、価格も3千円を切って購入できます。
マイクを一緒に買っても、5千円でお釣りが来ます。
だから、一人一台で持つこともできるし、大人数がいる中でマイクを使って簡単にチューニングできます。
しかし、それが弊害になっているように思えます。
なぜそう感じるかというと、チューナーをみんな譜面台に置き、チューニングは済んでいるというのに、実際に演奏するとチューニングが狂っているという場面があまりにも多いからです。
できることなら、基準音を鳴らして、それを聴きながらチューニングしてほしいです。
初めは音の高低はわからないかもしれません。
でも、おそらく音が合ってないとうねることはわかると思います。
音がうねっていたら、チューナーのメーターを見て、自分の音が高いか低いかを知ります。
口で調整しないでください。
そのあと主管を調整し、もう一度基準音を聴きながらチューニングしてみます。
そうするとうねりの速さが変わるのがわかると思います。
うねりがゆっくりになれば基準音に近づいています。
これを繰り返していると、基準音と自分の音の聞こえ方で音が合っているかどうかの判断ができるようになります。
大切なのは、自分が一番いい音で楽器を鳴らし、それが基準音に合うことです。
これは和音でも同じように合わせることができます。
基準にしたい音(たいていは和音の根音)に対して、純正律で合っていなければ音はうねります。
ただし、音楽の中での和音の場合は、和声の進行を優先するので必ず純正律の和音で合わせた方がいいわけではありません。
この辺りはまた別の機会に。
チューナーは「耳」を使うように上手に活用してほしいものです。
トランペット講師 大倉