こんにちは

いつもありがとうございます

 

 

デザイナーの育成について

以前から悩んでいます

 

私は人材育成の中でも一番難しい

営業よりも

職人よりも

デザイナーが一番難しい

私はそう思っています

 

なぜ難しいのか、

 

その難しさの理由はいくつもあるのですが

その理由のひとつに

 

「優れていないなら意味がない」

 

この点があるのではないでしょうか?

 

 

普通のデザイナーレベルだと

 *他社で売れている製品のマネ

 *流行デザインのマネ

はできますが、

独自のデザインを生み出すことができません

 

それでも、

マネができるならまだ優秀な方で

ダメなデザイナーはマネができません

 

マネをするためには

その要素を理解しなければならないのですが

ダメ・デザイナーはその要素が理解できない

だから、マネすらできない

 

 

優秀なデザイナーは

流行の要素を取り入れつつ

オーソドクスでありながら

バランスの取れた

今までにないデザインを作れる

 

今までの経験からすると

この当たり前のようなことが

できるデザイナーは

ほんの一握り

 

私は営業もデザイナーも経験ありますが

実力のある営業マンは

どこにでもあるデザインでも売る

 

ですが普通の営業マンは

苦労しなくても売れる商品が欲しい

だから

優秀なデザイナーしかできないデザインを

常に求める

 

営業とはそういうものですが

その意味ではなく、

デザインの本来の目的からも

そもそも「デザイン」って

新しくないなら意味がないのでは?

 

 

売れてるデザインのマネなら

育成せずとも誰にでもできる

 

周囲の人もマネ・デザインでは

その実力を認めないのでは?

 

優秀でないならその存在意義がない、

この点にデザイナー育成の難しさがあります

 

 

営業とか職人の場合、

ダメなのは困りますが

特別優秀じゃなくても、普通ならば

何かしら適性があって

その人ならではの仕事ができます

 

営業マンでも

特別優秀じゃなくても

平均的に売り上げができるならば問題なく

一生懸命やってくれるなら

お客様に好かれるので

ぜんぜん問題ない

 

でも、デザイナーの場合

いくら一生懸命でも

新しいデザインが生まれないなら

存在意義がない

 

デザイナーとは

適性から言っても

結果を出す難しさから言っても

非常に難しい仕事だと思います

 

 

また、こんなことが

デザイナーの育成を難しくしています

 

他の製品ではわかりませんが

ジュエリーデザインの場合、デザイナーに

マーケッターの要素も求められてしまう

 

お客様にはどんな見えない要求があるのか?

今どういうコンセプトの製品が必要なのか?

今何が売れるのか?

 

こういう

本来のデザインの仕事ではないことも

デザイナーは求められてしまう

 

デザイナーはマーケッターではなく

製品ディレクターでもない

でも、デザイナーに求められてしまうのは

「今、売れる」こと

 

ロングセラーを作るよりも、

寿命が短くても流行の製品を

今売れる製品を

求められてしまう

 

要するに

良いデザインを作ることではなく

「売れる」ことを求められてしまう

 

良いデザインというのは

すぐには売れないことも多く

そのかわり、ロングセラーになったり

固定客に愛されるデザインだったりする

 

良いデザインは時間を超越するからです

 

でも、「売れる」を求められたら

手っ取り早いのは、流行デザインや

他社のヒット製品のマネです

そして、その結果

デザイナーは本来やるべきこと

=バランスの取れた美しさの追求

をしなくなります

 

 

デザイナーでマーケットを知る人は

ほとんどいないと思います

 

「お客様は、もしかしたら、

 こういう製品を求めているかもしれない」

 

そういうマーケット感覚があるデザイナーを

私はほとんど知りません

限られたごく一部の

いろいろな経験を積むことができた幸運や

周囲の環境に恵まれた

ごくごくまれなデザイナーのみ

お客様のニーズを考えることができるのです

若いデザイナーにできることではありません

 

ですが、周囲は、特に営業は

デザイナーにそういう営業的感覚を

時に強く、求めるものです

 

 

 

またこんなこともありがちです

 

企画と名のつく仕事をやったことある人なら

おわかりいただけると思うのですが

 

デザイナーは、

ジュエリーデザインだけでなく

「ロゴ」デザイン

「パッケージ」デザイン

展示会の飾り付け

チラシ作り

などなど、「工夫する」しごとなら

何でもデザイナーに投げられてしまう

 

ひどい場合には

材料の仕入れをやってるデザイナーもいます

 

もちろん、デザインのためには

材料を知る必要がありますし

いろんな経験が生きるのは当然ですが

 

マネ・デザイナーに振るのは当然ながら

デザイン本来の仕事ができるデザイナーには

やらせるべきではありません

そんな時間があるなら

店頭に立たせるべきです

 

 

 

また上司の「覚悟」の問題もあると思います

 

ジュエリー企業の場合

デザイナーの上司は、

デザイン専門部署の上司ではなく

営業部門、営業部長が上司のことが多い

 

多くの営業部長の場合、

他と協調せず、いつも社内におらず

得意先にも行かず

その代わり、

新しいデザインを生み出せるデザイナーを

寿命の短い流行デザインではなく、

ロングセラーを生み出せるデザイナーを

評価しないのでは?

 

営業部長はデザインの内容よりも

マネ・デザイナーでも

営業を手伝ったり

嫌がらずに販促物を作ったりするデザイナーを

重宝するのでは?

 

 

社長は営業部長の意見を聞くものです

売上の大切さが、資金繰りの恐ろしさが

身に染みてるからです

 

営業部長が「欲しい」という

今売れる流行デザインを否定して

 

「ロングセラーを開発したいから

 優秀なデザイナーを育成するために

 今は我慢しよう

 他社のマネはやめよう」

 

こう言える社長さんって

なかなかいないのではないでしょうか

 

デザイナーのジレンマです

 

私も覚悟する必要があります

 

 

ジュエリー業界の最大の課題は

人材育成にあります

 

有為な人材が枯渇している

 

ジュエリー関連の業務は

組織にノウハウを保持できることが少なく

個人に帰属することが多いので

余計にむずかしい

 

当社も、ジュエリーメーカーとして

職人や原型師だけでなく、

デザイナー

製品ディレクター

CADコーディネーター

材料に精通した人材

タイの事情を理解するリーダー

などなど

人材を育成しなければならない業種が

かなりあります

 

全ての職種を網羅することはできないでしょう

ですが

どれだけ人材を抱えることができるか?

どれだけ育成できるか?

 

それが企業の価値になると思います

 

特に

デザイナーと製品ディレクターは難しい

 

失敗にめげず

人材の発掘と育成

その環境づくりなど

がんばりたいと思います

 

 

ありがとうございました

 

株式会社J-one

代表取締役 島田逹己

http://www.j-one-net.com/