第167回芥川賞受賞作。

日経の書評👇
ワークライフバランスや多様な働き方は、推進すべきものとして語られる。だが仕事の総量が変わらず人手も増えない中で誰かが自分の都合を優先させれば、誰かにしわ寄せがいく。そんな現実を鋭くえぐる小説だ。(日本経済新聞2022年4月16日朝刊より)


仕事が出来て真面目な女性と

可愛くてか弱くて、頭が痛いと言っては、早退や欠勤をしても許されて、繁忙期に皆んなが残業と休日出勤で疲弊している時でも、体が弱いという理由で定時に退社を許され、そのお詫びにと手作りのお菓子を持って来れば、おいしい、料理上手と職場の多くの人に褒められて大事にされる女と

1人の独身男性を巡る三角関係を描いた小説だけど、日経の書評のように、自分の都合を優先させれば、誰かに皺寄せが行く。そんな現実を鋭くえぐった部分が印象的でした。


仕事が出来る女性の立場で読むと、多くの人が皺寄せを十分被っているはずなのに、皆んながか弱い女性贔屓なのには、腹も立つだろうなと想像できます。仕事が出来て頑張っているはずなのに、職場の受けは、か弱い女性の方が良いなんて理不尽な話ですよね。でも、こんな話、どこにで転がってるエグイ現実なんですよね。


それから、👇の部分、目が止まりました。

P19

「この人は追い抜ける、時間もかからず、すぐに、簡単に。そう感じた人を尊敬するのは難しい。尊敬がちょっとでもないと、好きで一緒にいようと決めた人たちではない職場の人間に、単純な好意を持ち続けられない。」


☝️ 私は、ずっと主婦をしていて50歳を過ぎて、今の職場で働き始めました。もう、5年は過ぎましたから中堅になります。新人さんが入ってきたら最初は、教えてあげる立場ですが、若い子は直ぐに仕事を覚えて追い抜かれて行きます。パソコンは打つのが遅いし、臨機応変の対応は苦手だし

あぁ、こんな風に思われているのかなぁ。仕事場ですから、仲良しグループの集まりでは無いのですから、“尊敬が出来なければ好意も持てない”部分、確かにそうなんだろうなと思いました。たとえ好意を持たれなくとも抗うことはやめましょうと。尊敬に値する先輩でも無いし、好かれてる訳でも無いけど、信頼だけはお互いに持っていたい。これだけは、大事にしようと、一旦止まって そう思いました。

 

さて、この三角関係どう決着が付くのかは

これ以上はネタバレになってしまうからやめておきましょう。

全部でP152の薄い本です。

半日有れば十分に読めます。

いい本だと思いました。

芥川賞、今年は大当たり!