加藤隆「歴史の中の『新約聖書』」を読む。

NHK100分シリーズ「旧約聖書 「一神教」の根源を見る 」に続いていろいろ学んだ。

ユダヤ教の発生と旧約聖書の編纂を学び、ユダヤ教の「一神教」の特殊性を教えてもらった。

今回は、ユダヤ教の改革運動であったイエスの教えが、パウロによって、別の宗教立教・分派が起こり、ユダヤ教とはまったく違う別の「一神教」が誕生した経緯を学んだ。

プロテスタント神学の教授であり、歴史宗教学の扱う加藤隆さんの理解は非常にわかりやすい。

「神学の思考」「神学の技法」の佐藤優が説く「神学」はとてもカルト的だとわかる。

カトリックやプロテスタントの学者さんたちがいうことと、かなり乖離していると思う。

 

ところで、小さな発見だが、イエスの図像表現について重要なことを教えてもらった。

長髪でひげをはやし、長衣をきて、やせた西洋人的な顔つきをしているイエス。

ルネサンス以降の西洋絵画や、ロシア正教のイコンでおなじみの姿だ。

パレスチナ人の平均的容姿と似てもにつかない西洋人っぽい姿は、じつはヘレニズム時代にエジプトで信仰されたエジプト人・ギリシア人の神セラピスからとられたもの。

古代アレキサンドリアにいたギリシア語使用キリスト教徒が、セラピス神の像をイエスとして崇拝していることは歴史に記録されている。イエスの容姿が聖書にも記載されていないので、手頃な神像を代用したらしい。

この混同が西洋美術に影響をあたえて、今日のイエス像をかたちづくった。