幼稚園で感じた不安は無くなることは無かった。

しかし幼稚園で出来た友達も同じ小学校へ入学する事になり、小心者の私は少し安心した。

小学一年生に入学した私は、それなりに楽しむ事が出来ていた。

友達もでき、外で我武者羅に遊んでいた日々を思い出す。

夕方5時のチャイムが鳴ると、家に帰らなくてはならない。それが嫌だった。

ある時、父が私と姉と弟、三人を連れて目の前の大きな荒川に釣りに連れて行ってくれた。

初めての釣りに興味津々、
結果は私だけ二匹のセイゴを釣り、姉は一匹の大きなオタマジャクシを掬っていた。

初めて触れる魚に興奮し、ずっと眺めて居たが「そろそろ帰ろうか」と父が言い、
姉はオタマジャクシを逃がした。

しかし私は「なんで俺が釣った魚なのに、帰さなきゃいけないんだ!」と二匹とも殺してしまった。
初めて自分の掴んだ手に藻掻く魚の無言の抵抗を感じたのを覚えている。

姉は「かわいそう…」と悲しげな顔をしていたが、私は何かすっきりした気分であった。

私の中で芽生えた生き物を殺したいという。
サイコパスな私が誕生した時であった。