墓参りを終えて、向かったのは祖父母の家だ。
いや、正確には祖父母の家があった場所だ。
伯父は実家を出て市内の別の所で家族と暮らしていた。
その為、家は祖父母だけだった。
先に祖母が亡くなり、伯父は祖父と暮らす為に郊外に家を買った。その祖父もずいぶん前に亡くなった。
伯父の子供達も家を出てしまい、その郊外の家も暮らすのは伯父夫婦だけだ。
形式的には伯父の家が母方の実家になるのだが、俺が成人してからの事なので、行った事自体が数える程しか無い。
恐らくこの先行く事は無いだろう。
なので、『本来の』祖父母の家があった場所に行った。
バスを乗り継ぎ、最寄りのバス停から向かう。
何度も祖父母と歩いた道。
祖父母の家があった場所は空地だ。
『ここが玄関で、こっちに居間があって…』
と、空地をウロウロする。
お盆とお正月は親戚一同が集まるので、賑やかだった。祖母がたくさんの料理を作ってくれて。
大人達はビール飲んで。子供達はトランプ遊びして。そんな祖父母の家が大好きだった。
祖父母に可愛がってもらえた俺は、夏休みだけでなく、週末に遊びに行っては泊まった。数え切れない。
だから、祖父母の家はここにしか無いのだ。
でも、建物が無いので実感出来ないのが悔しい。
あの頃と比べると、ずいぶん狭く感じる。
何も遮る物が無いからか。
しばらく空地でぼーっとして、祖父母の家にあった仏間あたりで。
『じゃあね』
と、言って手を合わせ、バス停に向かった。
そこから駅に向かい、改めて名古屋に向かった。