小さな子供と歩いている母親がいた。


公園へ向かっているようだった。


その時、救急車が一台通り過ぎた。


「わぁ、○○ちゃん!ピーポーだよ!」


母親は嬉しそうに、子供に声をかけていた。


続けて、もう一台。

サイレンを鳴らしながら、後を追うように通り過ぎていく。


「すごいね!今日はピーポーが大忙しだね!」


さっきよりも、少し興奮した声だった。



その光景を見て、ふと思った。


あの救急車に、どんな人が乗っているのかは分からない。


でも、あの親子にとっては、

それは「楽しい出来事」なんだろう。


そうか。

他人の不幸も、

立場が変われば、ただの出来事になる。


あるいは、

誰かにとっては「楽しいもの」にすらなる。


考えてみれば、

そういうことは、昔からずっとあったのかもしれない。


だから、小さな子供は救急車に喜ぶ。

理由なんてない。

ただ、そういうものなのかもしれない。



もしそれが本能だとしたら。



それを知ってしまった俺は、

これからどうやって見ればいいんだろう。