ウチは周りに田んぼしかないような田舎に住んどります。
そうなると、来客も人間じゃないことがしばしば。
本日の来客は、夏に大勢で我が家に押し寄せてくる、小さい方々。
手足のない、胴体。
ヌメリのある身体。
そして、頭から生えてる2本の目。
そう、本日の来客はナメクジさま。
洗面所にちょこんとおられた。
しかも、大家族のとうちゃん的なビッグサイズ。
お母さんが眉間にシワを寄せながらプラスチックの容器にいれる。
私は後ろからその様子を眺めた。
容器に入れられたナメクジには、これから行われる儀式を知るよしもない。
お母さんは容器の上に、左手をおいた。
その手の中には液体石鹸の容器。
頭のプッシュを押すと、トロトロと半透明な液体が零れ落ちた。
その柔かそうな液体がナメクジの体を優しく包み込む。
ここから、ナメクジの地獄は始まった。
苦しそうに身をよじり、身体からは光に反射する体液を溢れさせる。
時折、何かを訴えてくるように見てくるのは気のせいだろうか。
あれほど大きかった身体は二分の一ほどまで小さくなり、動きもだんだん鈍くなってきた。
そこで私は気づいた。
いつの間にか、私は口の端を上げ、微笑んでいた。
嗚呼、ナメクジよ………
お前は生まれる場所を誤った。
次は猫にでも生まれ変わって、人に愛されろ…………
人にさえ好かれれば、それでいい。
人間を、敵に回すなよ……………