えっと試験一週間前からケータイ使えないのでおよそ二、三週間、お休みします。すみません。なので今週は休みのぶんも含めて四話分載せたいと思います。



「それでも僕は、月を綺麗だと思う。二十三話目。」
  晃の声が聞こえる。なんと言っているのだろうか。晃の声は、回数を重ねるごとにちゃんと聞こえてきた。
「空。空。大丈夫か?」
空は目を覚ました。すると目の前には晃がいてすごく心配そうな顔をしていた。
「悪夢でも見てたのか?すごく唸ってたぞ。」確かに悪夢だ。しかも予知夢かもしれない。もし現実になったら最悪だ。しかしここは晃に心配させるわけにもいかないので
「大丈夫。心配しないで。」
と笑顔で言うと、晃の心配そうな顔は安心してる顔へと変わった。
  それから一時間ほど経って晃は自分の最寄駅の桜町駅へとついた。ふと一時間前のことを思い出してみる。空は夢の中で何かを恐れていた。いったいどんな夢を見ていたのだろうか。そんな疑問を抱えながら僕は家へとついた。お風呂に入ってご飯を食べると、ケータイに空と咲希からラインが来ていた。内容は普通にプレゼントありがとうとのことであった。僕は咲希には軽く返事をして、空には夢の話を聞くことにした。空は「あなたには関係ない」と教えてくれなかった。怒っているのだろう。「ごめん」と送ると既読スルーをされたので仕方なく寝ることにした。


「それでも僕は、月を綺麗だと思う。二十四話目。」
  空は家に帰るとラインで晃にプレゼントのお礼を言った。そしてお風呂に入り、ご飯を食べると晃から返信が来た。夢の内容を教えてとのことだったが、私はそれを全力で拒否した。誰かに話すことが怖かったのだ。晃から「ごめん」と返信が来たが、既読スルーした。晃とこうして過ごしたり、ラインしたりする中でどんどん晃のことが好きになって、あの夢のようになるのが怖かったのだ。謝りたいのは逆に私の方だった。晃は何も悪いことをしていないのに、勝手に悪い夢を見た私が、晃のことを拒絶なんておかしい。そんなことわかっている。ごめんと言いたい。しかし、私が晃のことを好きになることで私だけでなく晃も消えてしまうのはもっとおかしい。だから晃を拒絶して嫌いになることはとても辛いことだが私にできる一番良い方法だった。そして私はその後、泣いた。泣き終わる頃にはもう晃への想いなどなくなると信じて。しかし結果としてそんなことにはならなかった。泣くのに疲れ果てた私はそのまま寝てしまった。


「それでも僕は、月を綺麗だと思う。二十五話目。」
  晃が起きるともう夕方だった。夜行列車で朝帰って、晃は家で寝ていたのだった。ケータイのラインを開くと、空から返信は来てなかった。何があったのか僕には分からなかった。バスの時間を合わせてみようかと思ったりもしたが、空に悪いと思い、やめた。それからの夏休み、どこかに遊びに行くこともなく、終わった。
  二学期。僕はいつものバスに乗り遅れて一本後になると空がいた。空は僕を見るなり不機嫌そうな顔をして、下を向いた。僕は何をしたのだろうか。何もしていないはずだが、こんなにも拒絶されるなんて何かやったのだろう。僕はすれ違いざまにそっと
「ごめん。」
と言っておいた。学校へ着くと岡村や咲希、日向が僕の教室の前で話をしていた。そして僕を見つけるなり近づいてきて
「一体空と何があったんだよ。みんなで飯行くってなってもお前は呼ばれないし、空はお前の話すると明らかに嫌そうな顔するし。」
と聞いてきた。聞きたいのはこっちの方だ。明らかに避けられている。
「とりあえず昼休みにカフェテリア集合。そこで話すから。」
と言うと、みんなわかってくれた。そして今日は僕の好きな数学がある日だったが、元気は出なかった。


「それでも僕は、月を綺麗だと思う。二十六話目。」
  昼休み、カフェテリアで全てを話すと日向から
「空ね、晃がストーカーしてくるってクラスで言ってたよ。」
心外だ。たまたま偶然会うだけじゃないか。なんでそんなこと言われるまでに嫌われているのか、わからない。そんな僕に対し岡村は冷静に
「帰りの夜行列車で見た夢がとても関係ありそうだね。例えば、空は夢の中で晃に殺されたとか。」
と推理を披露していた。でも普通そんなことでここまで嫌われるか?やはりおかしい。みんなで理由考えていると予鈴のチャイムがなってしまったので急いで教室へと戻った。
  あの日から散々考えたが僕にはやはりわからなかった。明後日は先輩の引退試合だ。空には一応言ってみたが、既読スルーされた。僕は気持ちを切り替えて、試合に集中することに決めた。筋トレをしようかとした時、空からラインの返信が来た。正直驚いた。しかしその内容は決して良いものではなかった。
「晃、お願いしたいことがある。先輩との引退試合に出ないで。」
そんなことできるはずがない。一体何を言っているのだろうか。僕は空に対し
「そんなのできないよ。先輩にはお世話になったし、先輩から逃げたくない。」
と送ると空は
「理由は風邪でもなんでもいいから。とにかく試合にでちゃダメなの。お願い。」
わけがわからない。何かあるのかもしれない。怪我して欲しくないのかもしれない。きっとそうだ。そう思い込んだ僕は
「心配してくれてありがと。でもラグビーなんて怪我と隣り合わせなんだから。逃げてられないよ。」
と送った。すると空は
「そこまで言うならわかった。けど本当に怪我に気をつけてね。」
と送ってくれた。僕は
「おう。まかせろ。」
とだけ送って話を切り上げた。