大きな会社の下請けで古い倉庫に古い社用車で毎日必死に働いています。
会社に対して特に不満は無く、あえて言えば最近になりどうも社用車のエアコンの効きが悪いらしく、夏の暑い時期は窓を開けて運転している事くらいです。社用車は古いため、運転席のロックが外れ無いこともしばしばありました。
お盆期間中も会社は休みでは無い事から8月末に少し遅めの夏休みを取ることにしました。
一週間ちょっとの休日で家族と旅行に行き、避暑地でゆっくりして心身共に癒されたものです。
あっという間に日にちは過ぎて行きました。
久しぶりの出社の日。
会社に手土産を渡し私は相棒である社用車の元へと向かいました。
社用車は会社の向かいにある砂利の駐車場に停めていて周囲は畑と木々に囲まれ、夏の喧騒が頭上から降り注いできます。
ふと車内を見ると窓が少しばかり空いていたようで、座席に数枚葉っぱが入り込んでいました。
運転席のドアを開け葉っぱを払い、簡単に他に異常が無いか確認してから車のキーを回しました。
古びた相棒は不安な音を立てながらもエンジンを吹かせ、オマケとばかりにエアコンからも冷たい空気が流れ出しています。
私は窓を閉め車を発進させました。
しばらく運転をしているとある異変に気がつきます。
どうやら車内に蚊が浸入していた様です。
耳障りな羽音が時折耳元をかすめます。
私は信号待ちで車が止まった時に、後部座席の下に常備している虫除けを使用しようとハンドルを握り前を向いたまま左手を助手席の後ろに伸ばしました。
その瞬間、左手に激痛が走りました。
何かが刺さった痛みで顏が歪み、傷みの元を探ろうと左手を引き上げてみると
そこには二、三匹のアシナガバチが、、
驚いて車を急発進させてしまい左横の生垣に車を突っ込ませてしまいました。
歩行者がいなくて本当に良かったです。
急いで車を降りようとしましたがこんな時に限ってドアのロックが外れません。
先ほどの事故の衝撃で車内では多くのハチが飛び交ってこちらへ攻撃を仕掛けてきます。
私は左手を振り回しハチを追い払いながら、右手で必死にドアの取っ手をガチャガチャと動かしました。
何度目かの格闘の末、扉が開き私は車外へ尻餅をつきながら転げ落ちました。
車の周りには事故の影響で数人の人が集まっていて私は情け無くも半ベソをかきながらその人達に助けを求め事無きを得ました。
結局、助手席の後ろに拳大の巣が作られていて私自身は左手、左腕、顏に全て合わせて17箇所もハチに刺されていた様です。
車はバンパーが縁石に乗り上げてしまった事もあり全損。生垣は完全修復するまでの費用を負担と休日明けにまさに天国から地獄へ突き落とされた気分でした。
でもアシナガバチもスズメバチと同様にアナフィラキシーショックが発生する可能性があるらしく命があっただけ良かったと思っています。
皆さんも夏場の物陰にはご注意下さい。
