率直な感想としては。良くできているのだが物足りない。予想した通りの物語に満足はしているのだが。『マトリックス』なら、それを越えないと合格点とはいえない。
僕がウォシャウスキー兄弟(姉妹)の作品に出会ったのが処女作(デビュー作)の『バウンド』
である。コーエン兄弟(『ブラッド・シンプル』)
やサム・ライミ監督、(『シンプル・プラン』)
マチュー・カソヴィッツ監督(『アサシンズ』)
のようなフィルム・ノワールの作品。独特のカメラワークや画作りに興奮したものである。その当時はウォシャウスキー兄弟(姉妹)はインディペンデント系の面白い映画を撮り続けるのだろうと思っていたのだが。次回作がSF映画と知ってからの期待感は半端ではなかった。これは、多分凄いSF映画になるのではないか? 凝りに凝ったカメラワークや画作り。プロデューサーのジョエル・シルバーが長年作りたかったSF映画になるのでは…。
そして、『マトリックス』の映像が公開されるや僕の予想を遥かに上回る映像が流れた。キアヌ・リーヴスが銃弾をよけるシーン。トリニティが空中で静止し、警官を蹴りあげるシーン。真っ白な空間に猛スピードで銃火器が現れるシーンなど。今まで見たことのない映像が次から次へと展開される。早く観たい! と僕の期待感は頂点に達したのである。
そして、日本公開の日。ワーナー・ブラザーズのロゴが灰色の空にグリーンで浮かびあがった、その瞬間。『マトリックス』は映画の歴史に名を刻む作品になったのである。と、『レザレクションズ』に過度の期待をするのは当たり前なんですよ。こういった経緯で観に行くんですからね。やはり、予想通りだと合格点はあげられないです。だって、俺が『レザレクションズ』を観に行くために予習した映画が『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』
『ヘルレイザー /ゲート・オブ・インフェルノ』
川尻善昭監督『ハイランダー』
の3作品。『レザレクションズ』の予告編を観ていて。まず、続編映画でパート7が最高なのが『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』ですし。ウォシャウスキー兄弟(姉妹)もクライブ・パーカー作品にも精通してるので、こちらも同じくパート5映画として最高な『ヘルレイザー/ゲート・オブ・インフェルノ』。
『アニマトリックス』で監督も勤めた川尻善昭監督作品で『ハイランダー』(絶対に吹き替え版は観ないでください!)と、なんとなーくこういった感じになるんじゃないかと思ったら、当たらずといえども遠からずでした。特に『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』は『レザレクションズ』を理解するには最適だと思います。
『レザレクションズ』に物足りなさを感じるのはアクションシーン。これが、今回凄く残念でした。『マトリックス』が、今のハリウッドのアクション映画を変えた作品であるのは間違いないのですが。このせいでアクション映画にリアリティーがなくなってしまったのも事実です。今回の『レザレクションズ』は、良くいえばリアリティーなアクションを描きたかっのではないかと思うのですが。キアヌ・リーヴスといえば『ジョン・ウィック』シリーズ
で最高のアクションをしているので。『レザレクションズ』は、やはり越えてかないと。正直、『ジョン・ウィック』の新作の方が期待が高いです。
と、『レザレクションズ』について書きましたが。『マトリックス』の元ネタに『攻殻機動隊』
があります。僕は昔から草薙素子は男だと思っています。行動や話し方、漫画では素子は女性と性的関係もあります。アニメでは素子はやはり女性らしいのですが。ウォシャウスキー兄弟(姉妹)が『攻殻機動隊』みたいな映画を作りたかった理由は、もしかしたらSF映画云々よりもジェンダーなヒロインに共感したからかもしれない。昨今のハリウッド映画におけるジェンダーの描き方でも先駆者的なウォシャウスキー兄弟(姉妹)の功績は素晴らしいと思います。
『レザレクションズ』でもしっかりと描かれているので、そこはちゃんと評価したいです。
では(^^)/