「アイデアを出せ」 「ブレークスルーをやらないと」 「今までのやり方をやっていたのでは何も伸びていかない」

耳にたこができるほど聞いた方もいるでしょう。管理職とはそういうことを言うものだとあきらめている人もいるでしょう。アイデアや画期的なプランなど、そうそう出るものではありません。

まず、それを出すにはどうするかを考えなければなりません。

ビジネス上のアイデアから少しはなれて、純粋に「出す」という行為を考えたとき、どんな出し方があるでしょうか。
・勝手に出てくる
・押し出す
・引き出す
・ひねり出す

他にもいろいろあるでしょうが、力の始点や方向から見ると、上記4種類くらいでしょう。
勝手に出てくれるほど楽なことはありませんね。アイデアや企画でもそれに越したことはありません。

でも、上から出せ出せと言ってるだけの経営者や管理職には首を傾げたくなりますね。
「じゃあ、お前が出せ」
といってみたくなります。

勇気を出して、聞いてみることもあったりして、
「では、○○さんはどうお思いですか」
などと問いかけようものなら、かならず口にする言葉があります。
「例えば」
こちらは、例えばではなくて、実際の戦略を聞いているのですが。

と、日ごろから、指示はトップダウン、アイデアはボトムアップの上司というものは、ことほど左様に当てにならないものなのです。
そんな上司に限って、その上に企画を持っていくときには、さも自分のアイデアのようにして以て言ったりしていませんか。

そして、次は「押し出す」
方向性から言うと、アイデアを思いついた人が提案するという形になるでしょう。
日本企業で、そんなシステムを取っているところはありますか。絶えず社員からアイデアを募っているような会社。ありますね。
トヨタの「カイゼン」、ホンダの「ワイガヤ」、つまりボトムアップから経費節減やプロセスの効率化、アイデアなどを上に上げていこうというやり方です。

「引き出す」はどうでしょうか。
上司が部下のアイデアを、何かのきっかけで認めてそれを取り入れてみるやり方です。現実問題として、数は多くないかもしれません。
というか、上司がそこまで部下のやり方を見ていない場合の方が多いかもしれませんね。

そして最後に「ひねり出す」。
これはもう、ブレーンストーミングでしょう。
アイデアを数限りなく出し合って、それらをつなげる、分けるなどを繰り返して、ひとつのプランとして採用すると言うものです。

ブレーンストーミングとは、決して他人のアイデアを批判してはいけないのが原則です。
でも、それをやらずに我慢できる上司がいるでしょうか。また、
「こんな事を言ったら馬鹿にされるんじゃないか」
「上司の○○さんがアイデアを出せばいいんだ、出してくれるだろう」
と、考える人はいませんか。

4つのパターンを見てきましたが、よほどのことがなければうまくいっていないのが大半ではありませんか。
「そもそもアイデアなど、提案したこともなければ、聞かれたこともない」
という会社も少なくないでしょう。

でも、確実に言えることですが、経営者はアイデアを求めています。そうじゃない経営者はいないでしょう。ここでいうアイデアとは、ビジネスモデルとして遂行可能な企画やプランと言っていいと思います。

上記4つのアイデアの出し方を見ても、よほど社内コミュニケーションがよくなければ集まらないという点では、共通しているのではないでしょうか。

つまり、アイデアを出せと言うのなら、アイデアを出しやすくする環境をまず作るべきであるということです。よく、社長直通の目安箱のようなものを作っている会社はありますが、それでアイデアは集まらないでしょう。それよりも、日ごろからディスカッションの機会を持つことが重要です。

それは、一方通行の会議では実現できないものなのです。

城下町けんぞう