借りていた、有栖川有栖、北村薫、宮部みゆき編「選んで、語って、読書会2」(創元推理文庫)を読了した。
最近よく読むようになってきたアンソロジーの第2弾で、1作目は実は未読である。
9作の短中編が選ばれている。最初にそれぞれの方の選んだ理由とかコメントがさらりと書かれている。最後に3人の座談会がある。それにより結構楽しめたと思う。
・宮沢章夫「二〇〇二年十月十七日(木)」:この日の野球観戦のチケットを貰った女性だが、本人はおろか周囲の誰も興味を示さないのでオークションサイトに出品した。ぐんぐんと値が上がることに驚き不思議に思っていた。そこでがらりと視点が変わり、その試合を楽しむ人物の生き生きとした描写。実は著者が落札して観戦、出品した女性は著者の創作だったのである。エッセイらしいのだが推薦した北村薫の言う通りで本格ミステリーっぽい面白い小説だった。わずか20ページ、見事だった。
・安部公房「パニック」
・海音寺長五郎「檜山騒動」:本書の中で最も長い中編。「列藩騒動録」の中の1編らしい。内容のみならず文体が古臭いのと、冒頭からやたらと様々な名前が出てきて鬱陶しくなり、即座に読むのを辞めたものである…。
・多島斗志之「低空飛行」:第2次大戦中のドイツにいた商社員の話。非常にスカッとする話であるし、編者らが言うように巧みな構成であり、とても面白かった。単行本等未収録の作品らしく、偶然に読むことができて本当に良かったと思った。
・岡本綺堂「麻畑の一夜」
・泉鏡花「革鞄の怪」:これまた非常に古い文体であり、即座に読むのを断念した…。
・小泉吉宏「喋る男」
・夕木春央「塔」:推薦者有栖川有栖主催の創作塾で、著者がデビュー前に書いた短編で、初公開作品である。なかなか不思議で興味を惹かれる作品だった。
・ディーン・R・クーンツ、大久保寛訳「ハードシェル」:普通の刑事ものと思っていたら、犯人が怪物になった。ラストでは、主人公の刑事も同様の人間ではないものだったという、少し意表を突かれた話だった。
本の世界がひとを救い得る。3人の鼎談もとても良かった。
2作品は読まなかった。3作品はとてつもなく面白かった。本来なら読むはずがなかった作品もあり、たまたま手にとって読むことになって本当に良かったと思う。「読書会」1作目にも目を通したいと思う。