ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」(早川書房)を今頃になって読了した。89年に改訂初版が刊行され、本書は94年5月の第57版である。
買ってから何度か読みかけた ことがあることを微かに覚えている。IQが低いチャーリーの書く文章は、句読点のないひらがなで書かれているからである。
今回はどうにか我慢して乗り切ることができた。それからは止まらなかった。見事である。
手術によりIQが高くなったチャーリーの報告書は漢字混じりとなり、ついにはかなり小難しくなっていく。と同時に周囲との人間関係も悪化していった。先の実験台であるネズミのアルジャーノンの能力が休息に衰えていき、チャーリーも自身の未来を知ることとなる。
そういった過程で、人間関係においてはIQがすべてでないことを再認識させてくれたのが本書である。
報告書の終盤、冒頭のような書き方に戻るとともに語られるチャーリーの思いに涙である。最後の最後にタイトルとなる言葉で締めくくられ、大感動であった。
訳者の苦労や日本語の良さも再認識した。氷室京介の曲もまた一層魅力的となった。