借りていた、山本淳子「枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い」(朝日新聞出版)を読了した。
オレの思う「枕草子」とは、清少納言が早逝してしまった中宮定子を偲び、きらきらして楽しかった時の思い出を多く書き留めた書というものである。ろくに読んだことはないが勝手にそういう風に思っていたことであった。
本書ではまず、そもそもの枕草子の概要が軽く説明される。意外にもタイトルに関する定説がないということ。内容を大別すると、類聚的章段(山は〇〇、森は△△とか、うつくしきものは~~といったいわゆるあるあるもの)、批評等の随想的章段、日記的章段に分けられる。成立過程において種々のバージョンがあること。章段の配列が、発表時の雑纂系統と、その後種類ごとに整理された類纂系統がある。雑纂系統にも2つある。成立初期段階の三巻本と、さらに手を入れた能因本である。それら基本さえ全く知らないことだらけだった。
本書では、作品が書かれた過程を時系列に追っていく章と、作品世界の特徴について述べる章が交互に配置されている。素人のオレに分かるようにうまく整理して説明されている印象である。巻末には主要な人物系図や関係する年表もあり助けとなった。ながら見してよく理解できなかった大河ドラマ「光る君へ」のかすかな記憶も蘇り、ごちゃごちゃした藤原一族の関係や歴史的事件がこれまたかなり整理された感じである。
清少納言が定子により成長していったということはまったく知らなかった。そうして可愛くて知的で雅な定子に惹かれていったらしい。他にも炉峰の雪や百人一首にも選ばれたの鳥の空音のエピソード、伊周・隆家兄弟の長徳の変なども詳しく書かれていてためになった。何よりやはり、オレの勝手な印象などではなく、「枕草子」が定子への励ましと鎮魂だということが明確な根拠を持って説明され、それがオレにも理解できて、とても良かった。とてつもなく面白く、また2人の姿に大感動した。著者に大感謝である!