今日、会社で毎朝読んでいた「南海トラフ地震の真実」という本を読み終えた。
 

 昨年8月に発売されて話題だったものを今更読んだ次第である。
 

 著者は新聞記者で、南海トラフ地震の発生確率の高い数字がいかにデタラメに決められているかを追ったノンフィクションである。第71回菊池寛賞を受賞した。
 

 「はじめに」の数ページに概要が紹介されてある。その後本文において、著者が冷静かつ丁寧に真実を紹介している。素人にも非常に分かりやすく書かれていて、すらすらと頭に入ってきた。以前タモリが、バカは簡単なことを難しく説明し、天才は難しいことを簡単に説明すると言っていたが、まさにそういうものなのだろうと感じた。
 

 地震予知と地震予測の違いとか学会・政府機関の関係の説明などで、業界の問題が浮かび上がっている。数字の根拠となった論文, 引用された文献に当たっていく取材過程には、本当に引き込まれた。そして真相にはやはり愕然とさせられた。
 

 私も技術者の端くれとして、様々なデータを鵜呑みにせず、どういう意味や意図が隠されているかなど、心して当たりたいと思った次第である。
 

 とにかくとても面白い本だった。そして著者には本当に敬意を表したい。