吉田恵輔監督・脚本、石原さとみ主演。

 鑑賞は10人もいなかったと思う。
 

 同監督作品の「空白」と似たようなテイストであり、オレの好きなテイストであることは間違いない。が、より辛いシーンが連続してとにかくやりきれない気持ちでいっぱいになった。

 娘が失踪しておかしくなる夫婦を青木崇高と石原さとみが演じている。とても良い演技であり、胸に迫るものが多々あった。一方、地元TV局から取材に来る男は、夫婦と視聴率主義のTV局の狭間で悩む。折しも後輩がキー局へ転職する。それらやりきれない苦悩を中村倫也がこれまた良い演技で魅せた。世間と同様オレも疑いの目で見ていたヒロインの弟はとにかくやばい。これを森優作が見事に演じていた。
 

 本当に救いようのない話である。結末もはっきりとしたものではない。それでも前に進まなければならないのがやはり現実なのである。エンドロールでは、ホームビデオの音声のみが流れ、とにかく悲しくなった。心の奥底に刺さった。そういう意味で良い映画と言えると思う。また、スタッフ・役者陣にあっぱれを送りたいと思った。