これは、ひとつの区切りのために書いた文章です。
二十代も終わりに近づいてきて、このまま次に進んでいくなら、きちんと終わらせておきたいものがあると思いました。
ずっとどこかに残っていたものに、自分なりの形で、意味を与えておきたかったのだと思います。
見ているかどうかは分からないし、正直どちらでもいいと思っています。
これは、自分の中で区切りをつけるために書いたものです。
当時は年の差もあって、あなたにとっては小さな出来事だったのかもしれません。
でも僕にとっては、初めてのことばかりで、とても大切な時間でした。
元々この場所で始まった話でもあるので、ここにも残しておきます。
ここで、この話には区切りをつけます。
季節が変わるたびに、思い出す人がいる。
理由は分からない。
ただ、風の匂いや、夕方の光の色が、どこかあの頃に似ているだけだ。
あなたと出会ったのは、中学二年の頃だった。
時間にすると六年。
けれど、その長さは、数字ではうまく測れない。
一緒にいた時間は、たしかに現実だったはずなのに、今はもう、触れようとすると少しだけ遠い。
そして、そのあとにも、長い時間が流れた。
僕は29歳になって、あなたのいない日々の方が、ずっと長くなった。
それでも、ちゃんと別の誰かを好きになったり、前に進んだりもしてきた。
あの頃の僕は、まだ何も知らなかった。
人を大事にすることも、言葉の重さも、沈黙の意味も。
ただ、あなたがそこにいるということだけで、世界がうまく回っているような気がしていた。
あの頃の僕は、まだ何も持っていなかった。
あなたと同じ場所に立てていなかった。
だからきっと、失ったのではなく、最初から持ちきれていなかったのだと思う。
最近になって、ようやく分かることが増えた。
あの時あなたがくれたものの重さや、言葉にされなかった優しさのかたち。
今の僕の考え方や生き方の多くは、きっとそこからできている。
遅すぎる理解だとしても、それでも、気づけたことには意味があるのだと思いたい。
あなたが今、どこで、どんなふうに生きているのか、僕は知らない。
誰かの隣で笑っているのかもしれないし、まったく違う場所で、まったく違う景色を見ているのかもしれない。
それでも、ときどき思う。
同じ季節の変わり目に、あなたもどこかで、少しだけ立ち止まることがあるのだろうかと。
もう会うことはないのかもしれない。
それでも、不思議と、すべてが終わったとは思えない。
形は変わっても、消えるわけではないものが、人の中には残り続ける。
だからこれは、今さら届けることのできない言葉だ。
それでも、いま確かにあなたに向かっている。
そして同時に、これでひとつ、終わらせるための言葉でもある。
本当は、ずっと分かっていた。
僕があなたに伝えたかったことは、結局ひとつしかなかったのだと思う。
あの時間を、確かに一緒に生きてくれて、ありがとう。
もし次があるなら、今度は、すれ違わない時間で。
