[東京 31日 ロイター] 経済産業省が31日発表した7月鉱工業生産指数速報(2005年=100、季節調整済み)は前月比0.6%上昇と市場予測を下回り、震災からの生産復旧のスピードが鈍化してきた。
7月の水準は震災前の95%程度まで回復しているものの、この先行きの予測指数は一進一退の予測となっている。今後の生産は、震災からの回復による押し上げは一巡し、需要に左右される局面に入るが、円高や世界経済減速の影響で従来の予想よりも伸び悩む可能性が高まった。
<弱めの生産、震災からの回復一巡と海外減速の影響>
7月の生産指数は93.2となり、辛うじて4カ月連続の上昇となったが、前月の生産計画を元に発表されていた予測指数の2.2%上昇を大きく下回り、ロイターによる市場予測調査の1.5%上昇も下回った。鉱工業出荷指数は前月比0.2%上昇、在庫指数は0.2%低下だった。
夏場の節電には多くの企業が対応を済ませていたため、その影響へのコメントはほとんどなかったという。むしろ、欧州や豪州向けの普通乗用車や新興国向けのトラック出荷が不調だったこともあり、自動車生産の伸びが大きく鈍化したことや、電子部品デバイス工業の国内外向けの需要減退、海外向けの建設機械の出荷減で一般機械がの生産がこのところ伸び悩んでいることなどがありそうだ。
生産が弱めの結果となった背景について、大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸氏は「震災からの復元の動きが一巡したことや海外経済の減速などが背景にある」と見ている。
<7─9月はゲタで上昇も、従来予測は下ぶれへ>
先行きも心もとない。生産予測指数は8月が前月比2.8%上昇となったが、9月は同2.4%の低下となり、一進一退となりそうだ。予測修正率は7、8月ともにマイナスが続き、今後のの生産が予測通りに行くか不安もある。
8月は輸送機械や一般機械、電機などがこれまでの生産の遅れを挽回すべく高目の生産計画を立てているが、9月は多くの業種で8月より減産計画となっている。経済産業省では円高の影響について「一部で9月生産計画に慎重な企業もある」としている。
東日本大震災の影響で4─6月に前期比4.0%低下と大きく落ち込んだ生産は、7─9月には8─10%と大幅な上昇を予想する声も出ていたが、今回発表された予測指数をもとにした経済産業省の試算では、前期比6.3%程度の伸びにとどまる。しかも「4月から6月にかけて右肩上がりに回復してきたため、7月以降横ばいでも大きなゲタをはいているために、高い伸びとなる」という事情がある。実勢としては、夏場の生産は横ばいにとどまる可能性もありそうだ。
マネックス証券チーフコノミストの村上尚己氏は「企業業績は11年度下期のV字回復が想定されているが、足元の製造業の生産活動の状況から判断すると、その実現は難しいだろう」と見ている。
大和総研・熊谷氏は、7─9月が伸び悩むことを前提にすると、「10─12月期は一転して発射台が低くなると見られることから、7-9月期よりも伸び率は低下する公算が大きい。また、電力供給制約の生産への影響は限定的であるとみているが、国のエネルギー政策の不透明感から、原子力発電所が全基停止するリスクについては引き続き注意深く見極めたい」という。
(ロイターニュース 中川泉)
【関連記事】
6月鉱工業生産確報は3カ月連続上昇、速報値から下方修正
6月鉱工業生産速報は3カ月連続の上昇、節電の夏も緩やかに上昇
UPDATE2: 6月鉱工業生産速報は3カ月連続の上昇、節電の夏も緩やかに上昇
再送:指標予測=6月鉱工業生産は前月比+4.5%、7・8月予測で電力制約や海外減速の影響確認へ
5月鉱工業生産確報値は前月比+6.2%=経産省
「この記事の著作権はロイター に帰属します。」