実践に学ぶ情報教育 | 情報科の書庫

実践に学ぶ情報教育

赤堀 侃司
実践に学ぶ情報教育―これからの学習を変える

 取り上げられている実践は小学校のものが主体で、直接事例が役に立つようなケースはあまりありません。しかし、この本のタイトルにあるように、「実践に学ぶ」構成になっていて、その実践の持つ意味や考え方は、いろいろな形で参考になり、考えさせられるものです。



  • 今までは学習指導という指導方法に重点を置き、教師中心に学習を考えていた。
  • 学ぶ主体(生徒)を中心に考え、豊かな環境を与え、教師が助言するという学習のスタイルを作るには、情報機器を生徒に積極的に使わせるのが効果的


     情報という教科は非常に分野が幅広く、場合によっては私よりも生徒の方が詳しいことも十分に考えられます。情報科の教員になるとき、「パイロットからナビゲーターになるんだな」という感じがしましたが、上に挙げた学習スタイルの変化を感覚的に感じたのだと思います。



     Webの進化によって、学びたいことを自分で(しかも無料で)学ぶことが可能になってきています。これは情報科という教科に限らず、他の教科でも可能になっています。先生に聞くより、専門家のWebサイトを調べた方がより詳しくわかります。情報化社会の進展で、このようなパラダイムシフトが起こっているのです。



  • 情報教育はコンピュータ利用教育ではなく、情報を扱う能力に焦点が移っている
  • 道具から人間の方に視点が移った
  • 情報を正しく扱う能力(情報活用能力)を育てるのが情報教育

     情報教育を正しく理解して、正しい情報教育を目指して授業をしている「情報科の先生」はどれぐらいいるのでしょうか。コンピュータ利用教育ばかりやっている情報科の先生もたくさんいらっしゃいます。


     コンピュータの普及が進み、利用教育の必要が無くなる可能性だってあるのです。そんなとき、情報科はどう生き残るのでしょうか。高校生にしかできない、高校生の時期にしかできない「情報教育」を考えていかないと、情報科という教科が無くなってしまうと思います。