1年生の12月頃合気道部の主将から電話があった。「来年度の合気道部の主将をユさんが担当してくださいませんか?」と言う。私は驚いて「主将は普通3年生が担当するのではありませんか?」と聞いた。「そうですが、今の3年生には女の子しかいないし、ユさんが主将になると合気道部がもっと発展するのではないかと私は思って…」と言った。私は「すみませんがアルバイトが忙しくて時間がないです。」と言って断わった。
それにもかかわらず「今稽古に出ているように出れば何の問題もないです。」と言いながら何回も頼むので、仕方なく承諾した。内心やりたい気持ちもなくはなかった。 「これは留学生活のいい思い出になるだろう!」と思ったからだ。
しかし主将になっていいことより、頭が痛いことが多かった感じがする。その理由は異文化コミュニケーションの壁が高かったからだ。 学長は「国立大学史に外国人主将が出るのは珍しいことだよ!」と言いながら励ましてくださった。学長とは毎年お正月にある留学生パーティーで「キムチ鍋」を作るためにお宅に訪問したことがなる。それで断ることも出来ずやって見ることにした。
私は主将になって何より部員確保に積極的に臨んだ。部員が少ないと寂しいし、他の部活からも軽く見えるからだ。私が責任を取った以上許せないことだった。順調ではなくいろいろあったが、部員が前より何倍も増えた。それで20年以上も同好会だったサークルが部に昇格出来た。本当に嬉しかった。
でも会員が増えるのをあまり好ましくない目で見る先輩がいた。大学院生である彼は会議のたびに意見を反対した。 「部員が増えれば合気道部が発展するのに何で反対するのだろう!私が外国人だから気に入らないのかな。」と考えたが理解出来なかった。それで「合気道部の主将は私だ。先輩だとしてそこまで関与するもんじゃない。」と思って私の考え通りに推進した。
そしたら師範に注意された。 「ユさん!武道の世界では先輩の意見を無視してはいけないです。」 私は心のなかで「師範につげぐちをしたな!先輩がいちいち関与するから今まで部員が増えなかったんだ。」と思いながらも先生の話を無視することは出来なかった。それでその後先輩と意見があんまりぶつからないように注意した。
あっという間に1年が過ぎて次の主将を選出する時が来た。私は部員をもっと増やすために、稽古に熱心な英語科の女子学生を主将に推薦した。東京外国語大学の男女学生の比率は女子学生が7割くらいで、男子学生は3割くらいだ。女子学生が遥かに多いのだ。それで「女性が主将になると部員確保に有利になるだろう!」と思った。
それから武道関係部活は今まで男性が多いイメージがあったが、合気道はそうでもないと印象付けたかった。力がいらないから弱い女性でも出来る武道だと宣伝したかった。予想は的中した。女子部員が前よりもっと増えたのだ。私が推薦した女子主将もよく頑張ってくれてからだ。
ここでも最初は先輩反対された。「女性主将は伝統に外れるから駄目だよ。」と言いながらその先輩が推薦するドイツ語科の男子学生を押した。でも私は強力に女性主将を推薦した。競争する時私は男子学生をこっそり呼んで「今年は女の子に譲って来年やればどうですか?」聞いた。すると彼は意外にも素直に応じてくれた。真面目な青年だった。次の主将はドイツ語科の男子学生が受け継いだ。
私は合気道部の主将を経験したお陰で、武道の世界の慣習など異文化コミュニケーションの壁を近くで体験することが出来た。 「これはきっと日・韓文化交流にあだってお互いの文化を理解し、親睦を増進するのに大きなプラスになるだろう!」と思った。