ジョンはラグビー観戦が大好きだ。 

涙があふれてくる感動的な試合を何度も観ている。観戦するスポーツとして間違えなくNo.1だ。観るだけでやろうとは思わないが。 

ジョンには魅力に満ちあふれた素晴らしいスポーツなのだが一般にはなかなか理解されない。このラグビーの扱われ方に長年いらだちを感じている。 

ジョンにはスポーツ観戦が好きな仲間がたくさんいる。 
スポーツ観戦の感受性が豊かな仲間たちだが、その仲間ですらラグビーの素晴らしさをなかなか理解はしてくれない。まして、スポーツ観戦に興味を持たない人にラグビーの素晴らしさを理解してもらうなど不可能なのかも知れない。淋しい限りだ。 

ラグビーが理解されない一番の理由はルールの難しさだと思うが、ルールは知れば良いだけなので本質的な理由ではないと思っている。本当の魅力をアピールできていないだけではないか。 


ラグビーは紳士のスポーツと言われる。 
紳士のスポーツと言われる競技はラグビー以外にもある。ゴルフ、テニス、サッカー、カーリングなどがそれか。 
共通点がピンと来る方も多いかもしれない。皆、英国発祥と言われるスポーツだ。英国のお金持ちを紳士と呼び、その紳士が余暇を楽しむ目的で始めたのがおおよその起源でどれも長い歴史がある。本題ではないので専門に譲るが実はテニスはフランス発祥か。 

「ラグビー校でサッカーをしている最中に、ウェッブ・エリスという少年が突如ボールを持って走り出した」というエピソードを知っている方も多いか。 
ラグビーの起源であると認識され、サッカーからラグビーが派生したスポーツと言われる理由。実はエピソードの裏付けはないらしく起源には諸説あるようだ。 

紳士には誠実な態度が求められる。 
相手の失敗を促したり期待したりしない。自分に有利になるような嘘の申請や判断をしない。 
ゴルフはスコアを自分で管理して最後に申告する。今でこそサッカーにはレフリーがいるが昔はいなかったらしい。カーリングはNo.1ストーンがどれかは両チームの話し合いで決める。コンシードという終わる前に負けを認めるルールもある。服装の規定が細かいのも共通点か。 

アメリカンスポーツは歴史的経緯からか、あまり紳士のスポーツとは言われない。 
サッカーは退場者が出たら人数が減る。見たことないがラグビーにもレッドカードはあるようだ。ラグビーの今のルールにはシンビンがある。シンビンはアイスホッケーのペナルティボックスと同じで試合中の一定時間退場。野球やバスケットは退場者が出ても人数は減らない。 
メンバーチェンジに制限があるか無いかも大きく違う。アメリカンスポーツはメンバーチェンジにほとんど制限がない。紳士のスポーツと言われる競技はメンバーチェンジがあまり許されない。文化の違いが現れていて興味深い。 

そのような中で、他の競技以上にラグビーは紳士であること、誠実であることが求められるスポーツだからジョンは大好きなのだと思う。 
誠実な者だけがプレーできるスポーツ。それがラグビー! 
いくら体が大きくて足が早くてラグビー向きな体格があっても誠実でないとラグビーはできない。 
ラグビーのルールが誠実なプレーしか許さないようになっている。ジョンはこのラグビーのルールが大好きなのかも知れない。 

ラグビーのルールは前提が分かっていないとなかなか理解しにくい。 

ラグビーは自分が所属する「A町」と隣の「B町」の陣地取りの戦い。「A町」vs「B町」の「戦さ」だと考えると理解しやすい。 
ラグビーボールの位置が敵と味方の陣地の区分点を示している。フィールド全てが味方の陣地になれば得点となる。 

「戦さ」なので、 
一度フィールドに出たら監督コーチの指揮、助言を受けることは一切できない。フィールドにいる15人のメンバーだけで戦う。 

「戦さ」なので、 
プレー途中に「ちょっと待った」なんて有り得ない。そんな隙を見せたら攻められるだけ。作戦タイム、タイムアウトがない。 

「戦さ」なので、 
メンバーチェンジなんて有り得ない。以前はケガ以外の理由では一切のメンバーチェンジができなかった。 
今はサッカーと同じように一定人数のメンバーチェンジができるようになった。 

「戦さ」なので、 
一度始まったら勝ち負けが決まるまで終わらない。反則があってもその反則が相手チームに不利にならなければプレーは継続される。ノックオンしたボールが相手チームに渡ってプレーが継続された場合、ノックオンの反則は一定時間のアドバンテージを見て、アドバンテージが解消されたら反則自体なくなる。 
ケガして倒れている選手がいても放置してプレーは継続される。プレーに支障がある場所で倒れている場合に限りレフリーの判断でプレーが止まる。プレー中でもスタッフが来て応急的な治療をしてプレー中になんとなく戻ってまた参戦する。 

「戦さ」なので、 
反則で味方が有利になる事がない。作戦として意図的に反則することができない。戦さである以上に紳士のスポーツでもあるので。 
例えば、バスケットのように作戦としてファールして時計を止めるとか、フリースローにしてリバウンドに勝負をかけるとか、反則ではないがそもそものルールの意図と使い方が違う野球の敬遠ファーボールとか。 
ラグビーは本来の意図と違うルールの使い方をして味方が有利になるような状況を作るとことや、相手のミスに期待することはできない。反則の全てが味方に不利にしかならないように決められている。 

「戦さ」なので、 
選手はボールより手前の味方の陣地にいないと意味がない。ボールより先の敵の陣地にいる選手はオフサイドでボールにアクセスしようとすると全て反則になる。 
敵の陣地内でひたすらいい感じのキックが来るチャンスを待っていたとしても元々オフサイド側にいる選手は蹴られたボールがたまたま近づいて来ただけで10mサークルオフサイドという反則になる。オフサイド側の選手は一度味方陣地に戻らないとボールに10m近づくこともできない。今は改正され10mサークルオフサイドのルールは見直されているようだが、ボールにアクセスできないのは同じ。オフサイド側にいる選手は全く意味がない。 
敵の陣地にいたら捕虜にされてしまう。戦いに参加できる訳がない。 

「戦さ」なので、 
球技ではあるがボールは陣地の区分点を示す目印としての意味合いが高い。マイボールの価値が低いというか、マイボールにするチャンスはいっぱいあると言うべきだろうか。 
味方の陣地を広げる方法は、ボールを持って相手陣地に向かって走るか、蹴るかの2つだけ。 
前に向かって蹴ったら間違いなく相手ボールなのだが味方の陣地が残りがわずがな状況ではボールが相手にわたっても陣地を広げるプレーが優先される場面が多々ある。 

「戦さ」なので、 
延長戦がない。ノーサイドになる。 


これら前提が分かるとラグビーを理解しやすいのではと思う。 

では、ラグビーキックオフ! 

ラグビーはボールの位置が味方と敵の陣地の区分けになっている。オフサイド側、ボールを持ったプレーヤーの前方には、味方はいない。味方全員後ろにいる。 
敵は否応ナシにタックルしてくるように見えるが、タックルしていいのはボールを持ったプレーヤーだけ。ボールを持っていないプレーヤーに身体接触してプレーを妨害をするとオブストラクションという反則。アーリータックル、レイトタックルという反則もボールを持たないプレーヤーへのタックルという意味では同じ。危険な行為という意味も強い。オフェンスとディフェンスの違いがあるがアクシデンシャルオフサイドもボールを持っていないプレーヤーの接触という意味では同じ。 

ボールを持ったプレーヤーは味方の陣地の先頭に立って味方が1人もいない敵陣に向かって走って陣地を増やすしかない。 
ボールを手で投げることで陣地を増やしたらスローフォワード。ノックオンもボールを落としたことで手で陣地を進めたという意味ではスローフォワードと同じ。後ろに落として陣地を増やさなければノックオンにはならない。 
敵だらけの敵陣に無謀に走ってもタックルされて敵に囲まれて終わるだけだがその中をどう突き抜けて陣地を増やすのか。味方にパスしたいが、安易なパスは陣地を減らだけ。 

ボールを持ったオフェンスのプレーヤーがディフェンスのプレーヤーに捕まる。立ったままの状態で敵と味方で固まりができた状態をモールという。敵と味方にもう1人味方が来たらモールが成立する。モールの状態であればオフェンスのプレーヤーはボールを離す必要はない。逆に味方の援護を受けモールの状態のまま押し込んで陣地を進めることが可能でゴールライン間近ではよく見るプレー。 

タックルされて倒されたら、倒されたプレーヤーはボールをすぐに離さないとならない。離さないとノットリリースザボール。 
ディフェンスはボールを持ったオフェンスのプレーヤーをタックルで倒してボールをリリースさせることを目指している。リリースされたボールはフリー。このボールを取ったチームが次のプレーを進められる。 

タックルされて倒れてボールを離したらフリーなボールが地面にある状態になる。この状態がラック。地面のボールをマイボールにするために敵と味方がボールに集まる。強いチームほどラックに早く集まってボールをマイボールにできる。 
ラックのことをルーズスクラムとも言う。ラック内にあるボールは足で搔き出すかラックを押し込んで自陣側にラックから出すまで手で拾うことができない。ラック内のボールを手で触ったりしたらハンド、ピックアップ。 
ラグビーは立って行う競技なので倒れたプレーヤーはできるだけ早く立ってプレー継続の邪魔をしないことが求められる。倒れたプレーヤーがそのままでラックから離れない場合はノットロールアウェイ。倒したディフェンスのプレーヤーが倒したオフェンスのプレーヤーを離さない場合はホールディング。立ってプレーする前提のラックに後からラックに来た選手が倒れてボールを出す行為を邪魔するとオーバザトップ(倒れ込み)。ラックから早くボール出すことを邪魔するプレーは全て反則となる。 
ラックになる度にボールはフリーになりマイボールにするチャンスがある。 

ノックオン、スローフォワード、など軽微な反則は相手ボールスクラムで再開する。最近のルール変更ではラインアウトも選択できるとか? 
ボールがフィールド外に出たらラインアウト。ラグビーでボールがフィールド外に出る状況はどんなときか。 
手でボールをフィールド外に投げてプレーを止めるのはスローフォワードになるのでキックで蹴り出すとこになる。故意に手で投げてタッチに出すのは陣地が減る方向だとしても禁止だと聞いたことがあるが本当か? 
タックルでボールを持ったプレーヤーがフィールド外に出された場合もラインアウトになる。 
ラインアウトやスクラムは、ボールを投げ入れる側の方が有利ではあるのでマイボールとはいうが、ボールに対しての権利はラック同様にイーブン。ラインアウトもスクラムも味方に有利な方にボールを投げ入れたらノットストレート。特にラインアウトはチーム間で身長差がある場合、背が高いチームが有利で相手チームに取られるケースは多々ある。ここにも相手ボールをマイボールにするチャンスがある。 

ラックからボールが出せる状態なのに故意にボールを出さない、スクラムが安定しているのにボールを入れない、出さない、などあらゆる状況で時間稼ぎやプレーの継続を邪魔する行為は全て反則となる。 

頑張ってボールを進めてゴールラインを超えた!最後、ボールをもってインゴールエリアにグランディングできたらプレーエリアを全て味方の陣地にできたのでトライとなる。5点得点。トライとはトライアットゴール意味。以前のルールではトライの後のゴールキックを決めて得点になった。得点になるゴールキックに挑戦する権利を得たという意味でトライ。 
以前はトライ4点ゴールキック2点で6点だった。反則で得られるペナルティキックでの得点は3点。2ペナルティキックでの得点と1トライ1ゴールが同じ価値でありペナルティで相手に与える影響が大きい。今は1トライの価値をあげてトライを目指すラグビーをしようという意図でトライを5点にして1トライ1ゴールで7点とした。 


ラグビーの精神を表す言葉がある。 

ノーサイド 
ゲームが終わることをゲームオーバーとは言わずにノーサイドと呼ぶ。敵と味方がなくなり相手のプレーヤーを讃える。手を挙げてエールを送ったりする。ノーサイドの精神の延長としてフィールドを離れた場所で定期戦を戦った相手チームと懇親目的のパーティーを開いたりする。 

”One for All , All for One”自己犠牲の精神 
1人は皆のため皆は1人のため。ラグビーの基本精神と言われる。英語の意図した内容を自己犠牲と表現するのはちょっと違和感がある。チーム一丸となって協力して敵と闘う団結力なのではないか。 

ボールを持って先頭を走る選手を他14人のプレーヤー全員でサーポートするスポーツがラグビーだと言える。 
ディフェンスは向かって来るプレーヤーを15人全員で倒しに行く。 
モール、ラック、スクラム、だけで許される相手チームとの身体接触の場でルールに従って一致団結して押す。1人を全員でサーポートする。フェアプレー以外の全ては反則。 

審判は単純なノックオンやスローフォワードなどの反則ももちろんジャッジするが、一番見ているのはフェアプレーか否か。 
ノットローアウェイですぐに離れろ!のすぐは何秒か決まってない。審判はプレーの継続を優先するのですぐには笛を吹かない。選手に「ロールアウェイ!」と促して、あなたは早く立って離れないとノットローアウェイになるから移動しなさいと忠告する。 
故意ではなく、敵に不利がないと判断されたら反則は取られない場合がほとんど。ラグビーの審判の難しさ、ラグビーは審判こそ紳士でありフェアプレーの重要さが分かっている人でないと成り立たない。 

ラグビーが大好きな大きな理由に認定トライがある。他のスポーツではまず考えられないのでは。似たルールがあるスポーツを知っている人がいたら教えて欲しい。 

よくある認定トライのシーン。 
ゴール直前でスクラムを組んでいる。オフェンスは押し込んでスクラムトライを狙っている。ディフェンスは押し込まれたくないので必死に頑張る。残り時間が少ない。得点差もなくトライされたら負けがほぼ確定。 
このようにな時、スクラムが崩れたり、回ったりして、何度もスクラムのやり直しになる場合がある。この状態を審判がディフェンス側の故意の時間稼ぎだと判断したら審判の判断だけでトライが認められる。認定トライ。 
その他のシーンでも故意に反則したと審判が判断して、その反則がなかったらトライだったと考えられる場合は認定トライとなる。 

美しい…と思うのはジョンだけか。 

もう一つ 
プレーが止まるのは反則かタッチに出た時。 
最近のラグビーでは時間が来たらプーというブザー音か?ホーン音か?が鳴る。ラスト1プレーの知らせ。昔はなかった。 
ラスト1プレーで7点差以内なら1トライ1ゴールで逆転のチャンスがある。1プレーとはプレーが止まるまでなのでオフェンスが攻めている限り何十分でも何時間でも継続可能。この場合、攻めている側が負けていて逆転トライを目指しているのに、守る側が反則してもノーサイドにはならない。反則したら相手に有利になるだけ。相手に新たなリスタートを与えて不利になる。試合を終わらすにはタックルしてマイボールにしてタッチに蹴るしかない。オフェンス側がノックオンなどの反則をしたらノーサイドにはなるが。 
7点差以内のゲームのラスト1プレーの緊張感はたまらない。何度も逆転の試合を観た。 

美しい…と思うのはジョンだけか。 

ラグビーは美しい。ラガーマンはカッコいい。気が優しくて力持ちなら山田太郎だか、ケンシロウ的魅力か。例えがチープか。 
絶大な強さと優しさを兼ね備えたスポーツマンがラガーマンだと感じている。 

最後に、 
複雑なラグビールールを全てここで説明できるはずはないが、ラグビーを楽しむ上で全てのルールを知り尽くす必要はない。 
22mライン、ダイレクトタッチ 
キャリーバック 
ドロップアウト 
フェアキャッチ 
アーリーエンゲージ 
コラプシング 
ニーリング 
スクラムホイール 
ノット10メートル 
まだまだ、いろいろなルールがある。興味がある人は調べて欲しい。 

野球のルール 
インフィールドフライが成立する条件が分かりますか? 
何をしたらボークを取られますか? 
2アウトで三振して振り逃げした場合3アウトになるのですか?攻撃は続行ですか? 
打球が審判に当たったら、振ったバットがキャッチャーミットに当たったら、打球がランナーに当たったら、どうなりますか。 
2アウトで盗塁失敗で攻守チェンジになったら次の回の先頭バッターは前の打席に立っていた選手ですか?次の打順の選手ですか? 

知らなくても野球を楽しむことはてきるはず。ラグビーも同じ。 


来年は日本でワールドカップが行われる。楽しみでしかない。 

少しでもラグビーファンが増えたら嬉しい…。