幸せの青い鳥(少年サンデー『月光条例』) | 狼の皮をかぶった羊

狼の皮をかぶった羊

生まれたところや皮膚や目の色で一体この僕の何が分かるというのだろう



(THE BLUE HARTS「青空」)

少年サンデー連載中の『月光条例(藤田和日郎先生)』。


満月の光で狂ってしまった『青い鳥』の主人公:チルチル。

妹:ミチルを貧しさから救い出すためには・・・

「作者に頼めばいいじゃねえか」。

しかし、世界には自分達より悲惨な物語がある事を知る。


偶然迷い込んだ『雉も鳴かずば』では、

貧しいお菊父子の悲しい結末を変えられず絶望。


次の『マッチ売りの少女』では、その教訓を生かし・・・

現実社会から持ち込んだマシンガンと装甲車で、

「マッチ売り」を見殺しにした、父親と街の人達を射殺(T▽T)


他のおとぎ話からの追っ手を振り切るため、

なりふり構わず、手段を選ばず。

狼の皮をかぶった羊

たったひとつの目的のため。

狼の皮をかぶった羊

『アラビアンナイト』の世界で得た魔力により、

もはや「怪物」と化すも・・・

『西遊記』の孫悟空による「月光条例」執行と、

自らの魔力に耐え切れず爆発。


しかし、お菊とマッチ売りのかざした「うちでの小槌」により、

生き返る。


そんなチルチルに、マッチ売りは告げる。

「わたしね、元の『マッチ売りの少女』の中へ帰るよ」


そこに戻れば・・・何度も何度も、繰り返される悲しい死。
狼の皮をかぶった羊

今日は笑っていても、明日は泣いているかもしれない。

「ストーリー」の見えない物語を生きる「人間」たち。

そんな心の慰めになるなら。


「行かせるかよ、ばか!死んじまうんだぞ!」

「でも、チルチルも貧しくて、いつもつらかったって・・・」

「おまえと比べたら、そんなのつらさのうちにゃ・・・!」
狼の皮をかぶった羊
「ほらね」


「私は<人間>の寒い心の毛布になるために生まれたの」
狼の皮をかぶった羊
「そのためなら、何回だって凍えることができるの」


「いやだ・・・俺はお前を幸せにするんだ」


・・・ねえ、チルチル。

真っ暗でだぁれも助けてくれないあの夜に、

チルチルだけがあたしを見てくれた・・・

見てくれたから、あたし、力が出ちゃったんだ。


ゴメンね。

狼の皮をかぶった羊
手渡された、マッチの灯火。

その中には・・・
狼の皮をかぶった羊
満月の光で狂ってしまった恐ろしい姿ではなく、

狼の皮をかぶった羊
チルチルの優しい笑顔。
狼の皮をかぶった羊

そして
狼の皮をかぶった羊
その光景を胸に
狼の皮をかぶった羊
マッチ売りは旅立っていった。
狼の皮をかぶった羊

チルチル絶叫。


ただ、幸せにしたかった。


『青い鳥』・・・それは、幸せを追い求める旅の物語。