「高3ロックファンのアルバム紹介」
第2回は1974年発表 ジョン・レノンの名盤「心の壁、愛の橋」です。
ビートルズが1970年に解散して直ぐに、ジョンはソロ活動を本格化させた。ソロ1stアルバム 「ジョンの魂」と2edアルバム「イマジン」はそれぞれ傑作と評価され、商業的にもかなりの成功を収めた。
元ビートルの面目躍如を果たす形となったジョンのソロ時代初期だが、その勢いは長くは続きませんでした。1972年発表の3rdアルバム「サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ」が全米48位の大失敗に終わってしまったのです。
「女は世界の奴隷か!」や「血まみれの日曜日」等の露骨なポリティカルソングが収録された「サムタイム‥」はジョンにとって初めての商業的失敗をもたらした。
この散々な結果に落ち込んだジョンの私生活は荒れた。元々大好きだった酒とドラッグに更にハマり、妻のオノ・ヨーコに暴力を振るうことさえあったという。
そんなジョンに失望したヨーコはジョンとの別居を決意。1973年から1975年にかけての約二年間のことで、俗に「失われた週末」と呼ばれる時期です。
この時期、ジョンは酒仲間と毎日アルコール漬けの生活を送っていたそう。酒場で暴れ回り、色々な女性に声を掛けまくっていたとのこと笑。ジョン、駄目だよ笑笑
しかし、ジョンは徐々に音楽への情熱を取り戻していきました。ミュージシャンとしてのプライドと愛する妻を同時に失った哀しみを曲にせずにはいられなかったのではなかろうか。
ジョンは久々に政治・平和問題と縁を切り、内省的な「人間ジョン」のアルバム制作に取り掛かりました。それが今回紹介するアルバム「心の壁、愛の橋」です。
政治問題を声高に叫ぶ攻撃的音楽性は影を潜め、幻想的な曲とファンキーな曲が印象に残るアルバム。
また、エルトン・ジョンと共演した「真夜中を突っ走れ!」という全米1位ヒットも誕生した本作。曲順を紹介します。
「心の壁、愛の橋」 Walls and bridges
全米1位 全英6位
1 Going down on love
2 Whatever gets you thru the night
全米1位
3 Old dirt road
4 What you got
5 Bless you
6 Scared
7 #9 dream 全米9位
8 Surprise,surprise
9 Steel and glass
10 Beef Jerkey
11 Nobody loves you
12 Ya ya
僕はこのアルバムこそがジョンの最高傑作だと信じている。本作を手放しで褒めるファンが少ないことは承知しているが、それでも僕は本作が大好きで大好きで仕方ない。
世界的ロックミュージシャンが妻を失った苦悩を曝け出す。それって凄く勇気がいる行為だったと僕は思う。
「僕は自分の過ちのせいで妻に愛想を尽かされました。」
大袈裟に言えば、世界中の音楽ファンに向けてそう発信するのと同じではないか。
「僕は皆んなが思うような強いロックンローラーなんかじゃないさ。本当は何処までも脆い一匹の男なんだ」
ジョンはそう伝えたかったのではないか?本作を聴く時、いつも思うことだ。そんな人間臭いジョンに僕は惹かれる。
平和ジョンや主夫ジョンも好きだ。だが、ジョンの1番の魅力はジョン自身の内面にある。それをとことん追求した本作には感服の一言。もっと愛されるべき傑作だと断言しよう。
ジョンの魂と系統が似ているが、本作の方がメロディは親しみやすい。だから良いというわけではないが、ビートルズ時代にNO.1ヒットを連発したメロディ・メーカーっぷりが久々に感じられるのが単純に嬉しい。
特に #9 dreamとNobody loves youは大好きな曲。前者はジョンが実際に見た夢がテーマの幻想的な曲。後者は壮大な後半部分と自らの暗殺を予期したかのような歌詞が印象的な大作。
イマジンやハッピークリスマスに慣れ親しんだ人はこのアルバムに戸惑うかも知れない。だが、僕は断言したい。平和主義者としてのジョンは、ジョンという人間のほんの一部でしかない。
ドラッグに飢え、酒に飢え、妻に飢え、そして音楽に飢えた1人の男の内情が垣間見れる本作は、まだ一般的に軽視されがちなジョンの人間臭さにスポットライトを当てた力作だ。
最近、近年一層加速するジョンの神格化に不安を覚えている。ジョンの「弱さ」に焦点を当てないままでは、彼の持つ魅力の1割程度しか伝わらないからだ。
本作がもっと知れ渡れば、上記した風潮にメスを入れるキッカケになるに違いない。
そんな淡い期待を胸に抱きつつ、今日も静かにこのアルバムを楽しみたいと思う。

