Since I Told You Its Over | ジョニーの部屋へようこそ

ジョニーの部屋へようこそ

果てなき夢を追う男、ジョニーの日々の記録

海

海岸に着いた僕は、

テトラポットの近くの

足場に腰をかけ、

マイルドセブンを口にくわえた。


自らに禁じていた煙草。

本当は吸わない方が良いのだろうが、

どうしても、すがるモノが欲しかった。

マッチを擦り、火を煙草に点けようとするが、

海の風が強くて、すぐに火は消えてしまう。

風に背を向け、何とか煙草に火を点ける。

すぐさま、僕は紫の煙に包まれる。

体にニコチンが廻り、僕の頭は、

久々の刺激で、軽くトリップする。

頭がクラクラしながら、

僕は目の前の海を眺めた。


よく、ここには、

元カノと来ていた。

今日みたいに風が冷たくて、

お互いくっついて、

寒さを堪えていたのを思い出した。

今はもう、僕の隣には誰もいない。


…。


切なさを心から追い出すため、

煙草の煙を思いっきり胸にためて、吐き出す。

煙は、宙に舞い、

海の風に流され、あっという間に消えた。


海の風のあまりの冷たさに、

急いで車の中に逃げ戻ってきた。

…もういい加減、親迎えに行かないとな。

車のエンジンをかけた。

暖かい暖房が心地良い。

しばし、頭のニコチンの余韻に浸る…。


CDをかけた。

stereophonicsの「You Gotta Go To Come Back」。

その内の13曲目、

「Since I Told You Its Over」。

僕がここ最近聞き続けている曲。

この曲にリピートをかけ、車を走らせ始めた。 


ケリーのしゃがれた声と、

切ないメロディーに心を委ねていた。

すると、もうどうしようもなく涙が溢れてきて、

運転しながら、僕は泣いていた。

止めようと、いくら堪えてみても、

次から次へと、涙はとめどなく流れた。

僕は堪えるのをやめた。

すると、まるでダムが決壊したように、

大声を上げて、号泣していた。

その声を、

ケリーは歌声でかき消してくれた…。


この涙も、

いつかは思い出と変わる。

その時、この曲を聞いて、

僕は微笑んでいられるだろうか?


僕の服には、

煙草の臭いが染み付いていた…。