■BMWのドライバーはイギリスで評判が悪い!?

 

2~3ヵ月前のこと、イギリスのクルマ系の金融会社の調査で、イギリスではBMWのドライバーが他のクルマのドライバーに比べて最も嫌われている、というニュースがWeb上にありました。しかもダントツでした。(1位がBMWで約40%、2位がアウディで14.1%ですからダブルスコア以上です。)調査会社がググって見ると、BMWのドライバーについては「横柄だ」「傲岸だ」という言葉が多く出てくるそうです。半ばお遊びで行われたアンケートだと思われますが、筆者自身も思い当たるような経験を過去にしたことがあるので、思い出して思わずニヤリとしてしまいました。

 

■筆者もBMWの困ったドライバーに遭遇経験あり。

 

今から25年位昔の話です。筆者は六本木の小さな会社に勤務していました。その会社は大きな通りを入ったところのいわゆる抜け道にあり、2台分の駐車場を備えていました。抜け道だけあってタクシーをはじめ、信号待ちのショートカットを狙う商用車、マイカーたちが昼夜分かたず通り抜けていたものです。

 

ただ、抜け道の名に違わず、道幅は狭く、クルマは2台がすれちがうのがやっと。駐車車両があった場合、対面するクルマはどちらかが譲らないとお互い通行できません。

 

 

出先からの帰り、ハイエースを駐車させるため、会社へと続くその抜け道へ入り、曲り角に来たところ、前からBMWの5クラス(7だったかもしれません)が向かってきます。図でいうと、太い道路の左から来たBMWはAの交差点を右折し、抜け道に入って来て、Bの曲がり角近くにまで来たわけです。一方筆者のクルマは下方からきてCの交差点を左折し、Bの曲がり角を少し右折したところです。

 

■そのドライバーはコワイ系の人。

 

2台のクルマはお見合い状態になりましたが、あいにく駐車車両がずらりと並び、すれ違うことができそうにありません。更に都合の悪いことに、筆者の後ろには同じく抜け道を通ろうとタクシーがついてしまいました。身動きが取れない状態です。

と、BMWのドライバーがドアを開け、こちらにスタスタとやって来ます。一見してその筋の人。これはマズイと思ったものの、どこへも行けません。

 

■出てきた言葉に目が点。

 

「何をしているんだ」。えっ、「そこの会社の者で、クルマを停めるだけです。」

無視されました。「後ろへ下がれ」と、そのドライバー。どうにもできないので、仕方なく後ろを指し示して、「後ろが詰まっているので、下がれません。」と筆者。BMWのドライバーはハイエースの後ろを見て、苦々しそうな表情で一呼吸置き、分かったともいわず、苦々しく吐き捨てるように「俺に、下がってくださいとお願いしろ」。はあっ?と思いましたが、迫力に負けました。できるだけ落ち着いた声を心掛け、言われた事を言いました。「下がってください。お願いします。」

 

それでBMWは渋々バックをしたのですが、こちらの会社の駐車場のところまでは下がってもらえず、会社の斜め前にあったコインパーキングの通路にこちらが入れるくらいまでで停めて、窓から体を乗り出し、そこに入れろと叫びます。またもや、はあっ、です。しかし、気持ちがひ弱な筆者は素直にハイエースを入れ込みました。BMWは礼も言わず、腹立たしさを全面に出して発進加速して行きました。タクシーは事情を察してか、行き止まりの道にクルマを差し入れていました。

 

■プレミアムカーのドライバーに必要なものは?

 

事は終わり、呆れた笑いがこみ上げるとともに、思ったことがありました。

BMWは、プレミアム・スポーツセダンというブランドポジションもあって、オーナー向けにドライビングレッスンを催していました。ドライビングスキルを高めるのが第一の目的と見えるものです。

 

でも、BMWをはじめとする高級車のオーナーに必要なのは、そんなスキルではなくて、他人や他車を思いやるマナーではないか?つまりマナー講座のほうが必要。それこそ、ノブレス・オブリージュ(高貴な者の義務)ではないか?

 

クルマメーカーが目指すものは、ハードとして優れたクルマを提供することが第一だけれど、オーナーやドライバーが世界一のマナーを持っていること、これがあってもいいのではないか。「まず誇れるのは、自分たちのクルマに乗っているのは、世界一のドライバー達だ、と言うこと」。そんなことを標榜するクルマメーカーが出てきて欲しい。

 

イギリスの記事を見て、思い出しました。