先日あるショッピングモールへ行き、ふと100円ショップの外観を眺めた時のことです。その100均ショップのロゴの横に書かれた、企業キャッチフレーズに、うーんなるほどと軽く頷いてしまいました。

 その100均ショップはSeria(セリア)。アルファベットのロゴの横に書かれていたのは、英文で “Color the Days”。「日々に色をつけよう」と訳せば良いでしょうか。もちろん英語ではどれだけの日本人に伝わるだろうかという疑問点はあるものの、自分たちが販売する商品でお客様に何を提供したいのか、お客様にどんな便利や楽しさを享受してもらいたいのか、見事に表現しているフレーズだと感心した次第です。

 後日ホームページを覗いたら、「日常を彩る。」が日本語としてのキャッチフレーズになっていました。英語のフレーズのほうがなんかしっくりくるし、伝わってくるように思うんですが。

 

 さて、企業のロゴにくっつけたキャッチフレーズは、様々な業界のいろいろな企業で見られます。日本だけでなく、世界の市場に進出しているところが多いからか、アルファベットのロゴに英語のキャッチフレーズがつけられているのが主流です。例えば女性向けの雑誌類は英語であったり、フランス語であったりと、いわゆる横文字の誌名が多いだけに、日本人にも違和感なく受け入れられるのでしょう。そんな中で日本語のキャッチフレーズと言うと筆者がちょこっと見た限りでキリン、サントリー、サッポロとアルコールを扱う飲料メーカーが出てきました。キリン:「よろこびがつなぐ世界へ」、サントリー:「水と生きる」、サッポロ:「乾杯をもっとおいしく」という具合ですね。サントリーとサッポロはまあ、飲料と結びついていて届いて来ますが、キリンはちょっとぼやけた感じがします、あくまで個人的な意見ですけれど。

 

 自動車メーカーに目を転ずると、ホンダが「The Power of Dreams」。「夢の力」。Dreamは複数形なので、「夢(を持つ者)たちの力」という感じです。筆者のような昭和の中頃生まれの者にとっては、ホンダのコアとなるフレーズだとよく理解できるのですが、若い人達にとってはどうなのでしょう?

 いまや顧客に向け発するスローガンではなく、むしろ従業員、いや経営陣に今一番必要なスピリットのように思います。いかが?

 

 もう一つ、自動車メーカーから。マツダです。「Be a Driver」。「ドライバー(運転者)たれ」。最初は昔トヨタが言っていた「Fun to Drive」=運転して楽しいこと、とほぼ同義語だなと感じていました。それはそれで正しいのは間違いありません。でも別の意味もあるのではと、ある時ピンときました。driverには「原動力、原因、誘因」という意味もあって(コンピュータの周辺機器を動かすプログラムもドライバといいますね。)、「推進者になろう」とも取れるのでは、とです。中堅自動車メーカーでありながら、ロータリーエンジンの開発などでユニークなポジションを築いてきた、マツダらしい気概あふれるフレーズに見えてきます。ただ付け加えると、キャッチフレーズはキャッチフレーズに過ぎません。実際のビジネスに結びつけていくことが重要なことは論を待ちません。

 自動車は100年に一度の変革機と言われています。ホンダもマツダもその大波を乗り切っていくようドライブをかけて欲しいと切に思います。

 

https://www.mazda.co.jp/beadriver/