いま日本には、四つのオートバイメーカーがあります。言うまでもありませんね。その四社が送り出すオートバイにはそれぞれ個性があって、メーカーのイメージをカタチ作っています。皆さんもお持ちではありませんか?

 

筆者が持っているイメージは、こんな感じです。

ホンダ:トップアスリートで秀才。隙がなく、何をしても一番。

ヤマハ:都会っぽく洗練されたシャレ者。遊んでいるふうで成績優秀。

スズキ:素朴で、目立たない努力家。時にあっと人を驚かすようなことをする。

カワサキ:武骨な荒々しさが魅力。体育系の中でも格闘技系。強い意志。

 

まあ、異論ばかりでしょうが、1980年代の初め、バイクブーム真っ盛りの頃です。こんな事がありました。

各メーカーは、販促の一環として自社オートバイの試乗会を催していました。

 

ホンダは、本社の企画。本社の建屋は今の東京・青山ではなく、東京・原宿に当時ありました。試乗会は有料で、桶川にあるホンダの施設で自由にオートバイに乗れるというもの。原宿・桶川間は、ホンダが仕立てたマイクロバスでの移動です。至れり尽くせり。もちろん免許証のチェックがあり、試乗の際に何かあった場合の自己責任となる誓約書に署名も必要でした。それは極めて当然のことで納得のいくものです。

現地にはインストラクターがいて、バイクについて色々アドバイスしてくれ、さらにクローズドのコースなので、加速などライディングが結構楽しめました。試乗車種は小型から大型、オンロードからオフロード車まで、ホンダ車なら結構揃っていて、よりどりみどりです。国内の最高峰、VF750Fが無かったのは、残念でした。

なかなか嬉しいことだと思ったのは、中型の免許でも大型のバイクに試乗できたこと。筆者は既に限定解除していて、関係なかったのですけれど。所有していたCB750Fよりも、当時の新型CBX650カスタムの方がパワフルで、しかも操作性も軽くて、びっくりしたことを覚えています。中型免許の女の子もこのCBX650を軽々と操って、楽しそうでした。

 

ヤマハは、東京の販社の主催。ヤマハ・スポーツ・プラザ(YSP)が、イベント場所になっていて、一般の公道をインストラクターの先導に従って、ぐるりと一周して来るもの。車種は大型も出揃っているのですが、人数的な制限もあり、何車種も乗れるものではありません。公道でインストラクターの先導付きなので、オートバイの美味しいところは全く堪能出来ず。ただ、パワーバンドのはるか下を使っての、タラタラ歩きという感じでした。交通法規を守ってというのは、徹底していました。免許のチェック、誓約書は当然です。無料です。

 

カワサキ。こちらも東京の販社の企画です。きっちりとオーガナイズされている風はなく、試乗を申し出ると、軽く許可を出されて、試乗車を指示されます。「え、これ乗っていいんですか?」と尋ねると、「乗ってきたバイク、そこにあるんだろ、置いてあるんだったら、それでいいよ」という返事。面食らいました。インストラクターがいるわけでもないので、単独で試乗し、危険でない範囲で、加速やスピードを楽しみました。免許のチェックや身元の確認、誓約書はなし。

 

スズキは、、、、、、、。。。。。試乗会などは開催していませんでした。うむ。

 

これ40年くらい前の話なので、筆者の記憶に間違いがあるかもしれません。だけれども、昨今、企業が合併する際に、企業文化の違いをどう解決していくか、ということが話題になるのをみるにつけ、各オートバイメーカーの個性というものは、本当に面白くて、愛さずにはいられなくなります。それぞれのメーカーらしさを磨いていってもらいたいと思います。

もちろん、昔と違い、コンプライアンスは当然で、試乗会といえどもきっちりとした運営で。