続いては30~21位。

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30位. orion / 米津玄師

    『Bremen』の流れからの集大成のようなシングル曲。正直、前回の両A面シングルの表題曲である『LOSER』と『ナンバーナイン』がどちらもピンとこなかったので、「あの米津玄師もそろそろピークは過ぎちゃったかな…」などと思っていた。大変失礼しましたw 『orion』最高。現在進行形の洋楽的なアレンジを大胆に取り入れながら、メロディーは愛すべきJ-POPの黄金律とでも言いたくなる心地よさ。以前ラジオで桑田さんが適当に口走った「米津、J-POP最強の男!」なるフレーズは、あながち間違いじゃないかもしれない。少なくとも、売れっ子と呼ばれる中では最も世界基準に近いんじゃないかと思わされた。

夢の中でさえどうも上手じゃない心具合
気にしないでって嘆いたこと 泣いていたこと
解れた袖の糸を引っぱって
ふっと星座を作ってみたんだ
お互いの指を星として






29位. ヒカリノアトリエ / Mr. Children

    ベテランなのに働きすぎでおなじみ、みんな大好きミスチルの朝ドラ主題歌(桑田佳祐『若い広場』よりはこっちの方が歌詞は難しくないですか会長さん…)。タイトルの「ヒカリノアトリエ」は、チャラン・ポ・ランタンも参加したツアーのバンド名でもある。長きにわたった小林武史とのコンビを解消し、新たな表現を模索するミスチルらしい新鮮さに溢れた一曲。今までのシングルと比較するとかなり地味なナンバーではあるが、これからのミスチルにとっては重要な一曲となるはず。

「一体何の意味がある?」
つい損か得かで考えてる
でも たった一人でも笑ってくれるなら
それが宝物






28位. Arma / GRAPEVINE

    実は、ここ最近のGRAPEVINEがめちゃくちゃ好き。この曲も一聴して、OASISを彷彿とさせる壮大なスケールのバンドサウンドに打ちのめされた。GRAPEVINEらしからぬポジティブな歌詞、むせび泣くギター、すっと入ってくるメロディー、なんて最高なんでしょう。新生活の始まりにも、初夏の雰囲気にも合うような気がする。今年何回でも聴きたい、ひねくれていて解放的なファンファーレ。

このままここで終われないさ
先はまだ長そうだ
疲れなんか微塵もない
とは言わないこともないけど






27位. MISS YOU feat. Taro Miura / ナードマグネット

    マーシー的一押しパワーポップバンドの新曲は、親しみやすいポップスで人気を獲得しつつあるフレンズの三浦太郎との共作。その時点で最高の切なさと溢れるメロディーは約束されている訳で、リスナーとしてはただ身を任せるだけ。この間違いなさ、裏切りのなさがひたすらに快感。情けなくてピュアでいじらしいこの感じ、誰かと共感したくなる。

Wait for you
Dream of you
I miss you, I miss you
何も言えないまま






26位. 某東京 / ゲスの極み乙女。

    狂気のアルバム『林檎達磨』から、中でも特筆すべき狂気に満ちた一曲。今回の作品は全編にわたってコーラスが効果的に使われているんだけど、この忙しない不気味なコーラスは川谷絵音の語りと同じくらい主張が強くて、鬼気迫る何かを感じるレベル。東京の閉塞感を吐露した歌詞は、同じく東京に住む者としてつい共感してしまう。YouTubeで公開された3つのリード曲を聴いた時点ではアダルトな作風を予想していたから、ジャンル分けを拒否するような変な曲(最上級の褒め言葉です)が飛び込んでくるとは思わなかった!

意外と人生は面白いなんて言ってる
おっさんにだけはなりたくない
牛丼屋のカウンターでビール飲みながら
泣いてるOLには絡まれたくない





25位. イト / クリープハイプ

    話題の映画主題歌。大型タイアップに合わせて、渾身のポップなメロディーが耳に残る一曲となっている反面、細かいギミックも盛り込まれていて飽きさせない。人気バンドとして、身の回りに渦巻いているであろう思惑の数々を皮肉る歌詞は、ふんだんに駆使されたダブルミーニングと相まって尾崎世界観の面目躍如。映画は観ていないんだけど、タイアップとしてこの歌詞は妥当なのか心配になるw
    あと、MVも色んな意味で笑えます。清水ミチコの怪演は必見! それにしても、主人公の人形は何-BOONの何田さんなのか見当もつかないなぁ(棒)

この度はどうも 末永くどうか
誰かの糸で ぎこちないお辞儀
この旅はどうも 雲行き怪しい
誰かの意図で やるせない動き






24位. Mix it Up / Dragon Ash

    初のMステ出演で披露され物議をかもしたDragon Ashの最新曲。ジャパリパークじゃないけど曲全体がサビのような迫力を持っていて、ひたすらに物量で圧倒される。メンバー全員が等しく「俺が一番カッコイイ!」と言わんばかりにセンターを奪い合っているような光景が浮かぶ。Mステでの「MUSIC STATIONだってカラオケじゃないぜ 生音で堂々と証明」というアドリブのリリックには痺れた!

welcome to da rock show, so jump around
now you're in the freaky wonderland
da rock show, so keep it loud
here we play music all mixed up






23位. 荒野を歩け / ASIAN KUNG-FU GENERATION

    立て続けに映画主題歌。これはもう専売特許と言っていいくらいの、疾走感と気だるさが同居したアジカン王道スタイル。夜の街で聴けば、そのまま荒野を歩きたくなること請け合い(?)
    ただ、単純にかつての路線に戻ってきたのかといえば、そうではないと思う。前回の大名盤『Wonder Future』以降のシングルが個性豊かな面々がその何よりの証拠。ゴッチが来年にはアジカンとしてアルバムを出したい旨を呟いていたけど、どんな作品にまとまるのか、まったく想像がつかない。

背伸びでは足りないボーイズが
世界を揺らす
「君らしくあれ」とか
千切ってどこか放す






22位. 人間大統領 / 電気グルーヴ

    個人的に愛してやまない電気グルーヴの怪盤『VOXXX』を彷彿とさせる、おふざけカオスなナンバー。これほどまでに中身のない詞を実際に曲に取り入れてしまう暴挙は、狂人コンビ電気グルーヴならでは。韻を踏むこと以外何も考えてない潔さにスカッとする。
こんな珍曲でもベースにはKenKenが参加していて、電気お得意の打ち込み極太ベースとは違う新鮮さ。変わってるんだか変わらないんだか分からないままに、いつまでも電気グルーヴはおかしくて素晴らしい。

人間(あ)やめて大統領
人間だけに大統領
全身ラメが大好評
人面犬が副大統領






21位. エゴサーチ&デストロイ / ドレスコーズ

    かつて毛皮のマリーズを率いた奇才・志磨遼平のソロプロジェクト、ドレスコーズの最新アルバムリード曲。SNS社会でいびつになる人間関係、幻にすぎない「普通」、そんなとても現代的なテーマを飄々とおちょくる痛快さがたまらない。一撃で耳にこびりつくキャッチー極まりないメロディーに、「ディグりディグられ合い」「妬み・オン・デマンド」などなど強烈なキャッチコピーがぴったりとハマり、混沌の現代を映し出す。数十年後、「これが2017年です」とこの曲を提示したい。

あいまい“me”とは ありがちな存在
あいまい“me”とは カリカチュアちょうだい
ディグりディグられ合い
ディグりディグられ合い
ディグりディグられ合い
ディグりディグられ合いさ






(20~11位編につづく)