不思議な体験をした。

土曜日、実家に遊びに行き、夏祭りに姪っ子と息子と一緒に行った。

市長のうまい棒袋詰めを横目に見ながら、息子が果敢にもペットボトルの麦茶を直接の飲むことに挑戦。

しかし、豪快に吹き出し、前に座っていたお婆さんにぶッかけると云う愚行を行うが、本当の愚者は誰なのか?こんな瑣末なこと、今から書き示す、背筋が凍る話に比べれば、可愛いものである。お婆さんには、もちろん平謝りしたが…。

土曜の夜は、祭りから帰り、秋刀魚の高騰のニュースを見ながら、秋刀魚を食べた愉快な宴であった。また息子に会うために、甥っ子の家に行くのをキャンセルしてくれた姪っ子が一緒に居てくれたため、一層華やいだ、賑やかな実家となったのであった。

毎度の如く、小生は気分良く萩乃露を呑んだ。そして、息子と共に眠りに落ちる。

朝、5時半ぐらい。窓から朝日が入り始めた。

小生は苛ついて、悪態を吐く。

「なんなん、もう。うちの母親、雨戸片方締め忘れてるやんけ!」

奥さん曰く、

「何言ってるん!自分で開けたんやん!」

「えっ!?  どゆこと?」

奥さん談。

前の晩の夜中、小生が起きる気配がしたらしい。トイレにでも行くのかな?と思っていたら、なんと、窓から外に出始めるではないか。

足元のお菓子類を器用に避けて?、まず内窓を開け、外窓を開け、雨戸を開けて、真夜中の外に出て行ったらしい。そして、用を足す音だけが、確かに奥さんには聴こえていた。

暫くすると、また暗闇の外から、小生は戻って来た。暫くボォっと布団の上で座っていたらしい。どんな顔をしていたかは、分からなかったとのこと。

奥さんも夢現つながら、なにか異様な雰囲気過ぎて、小生に話かけられなかったらしい。

小生、全く記憶が無い。

そもそも、何故外に出たのか。どこか間違った場所に、用を足すならまだしも、3重の扉を開け、外の窓前にある樽をどけ(母親が朝、樽の位置が動いているの不振に思っていた。)、かなりの障害を突破して外に出たのだが、記憶が無いのは何故か。

部屋と布団に残された、足の裏に貼り付いたのであろう量の砂利砂と、動かされた樽が無ければ、小生は奥さんの話を信じなかっただろう。

何かに憑かれていたのか?ただ、酔っ払っただけなのか?恐らく後者だ。

その晩に呑んで酔っ払った萩の露の「雨垂れ石を穿つ」、恐らく新作赤ラベル。ずっと川で冷してから呑んだ酒。その話を聞いて、何だか気味が悪く感じたが、美味しい酒だから、家で飲もうと一升瓶、残り分を持ち帰った。

そして、もう少しで玄関前まで運んだ時、また不思議な感覚に陥った。まるで自ら進んでかのように、全ての荷物が道を開けたかのように(正直ピタゴラスイッチ並みの動きだった)、酒が荷物から落下、酒瓶は砕け散り、酒は皆、物の見事に近江の土が綺麗さっぱり呑み干してしまった。

小生を奇行に走らしたあの酒は、もう二度と呑めない。