なんてエモい邦題、でも中身は日本以外の世界中の評論家から絶賛を受けたあっと驚く名作です。この映画は映画館で過去にない観客の反応を引き出した事はリアルタイムでみた人以外にはあんまり知られていません。ロッキーホラーショーなんて笑い話レベル。


ビートルズがやって来るヤア!ヤア!ヤア!は誤情報から産まれた名/迷タイトル、ちさ子さんの父高嶋さんではなく、当時日本ユナイト支配人のあの水野晴郎さんの命名らしい。

明け方から夜までハードな撮影日程の中疲れきったリンゴのある夜の撮影終わりの文法無視のグチがとても気に入ったジョンがそのまま採用、本来言いたかったのはとてもつらいハードな1日、のいまは(外は)夜になってた、学校にいけなかったリンゴの言葉は、ハチャメチャな忙しさを表す言葉としていまや世界中に流通。


ハリウッド資本映画ではありえないレベルのスケジュールで3/2撮影開始イースターも撮影→4/28頃ポストプロダクション開始→7/6プレミアと撮影実働40日弱、実質18週、稼働日僅か90日で完成公開。日本映画なら普通の日程かな。


UAとしては、映画はこける前提でサントラで稼ぐ作戦。予算わずか56万ドルの低リスク低リターン作品、360円レートで2億円、ハリウッド映画例えばプレスリー作品はギャラ高、組合コスト高もあり2~30億が相場。80年以降は100万ドル取る俳優さんは珍しくないし、さらに興行収入歩合や2次使用権利や商品化権利(これが打出の小槌!)をもらうのも当たり前。


ビートルズがいけない場所にも映画館があるから世界中に宣伝できれば安い投資とエドサリバンショーと同様ただみたいなギャラを提案したマネージャーのエプスタインの大勝利。ただビートルズには映画の歩合権利も放送やビデオやブルーレイや配信の2次使用料も商品化権もなく、UAから権利取得したプロデューサーを億万長者にしただけ。


結果64年の興行成績は北米9位の1200万ドル、アメリカカナダだけで半年に2100%金利!それ以外の世界での映画館、テレビ放映、北米のサントラ盤、VHSに始まるパッケージソフト、配信、関連商品化でどれだけ稼いだか、想像つきません。


がやはり、最大の効果は、エプスタインの目論見すら越えた歌う動くビートルズに向かいスクリーンに絶叫する世界中の観客の女の子たちの反応!と日常ぽい演出で愉快で楽しいファブフォーのイメージをファンに定着させた事。慎み深い日本人女性が解散してからも映画館で絶叫してたんだから凄い破壊力、すでに日本に来てたジョンやヨーコに見せたかったなあの光景。ハプニングのプロ芸術家ヨーコさんならどう感じたでしょうかね。


UAはサントラ盤で稼ぎ曲が売れてる間に回収する計画。現場は大混乱し、仮タイトルやパテの短編ニュース映画the BEATLES  COME to TOWN(マンチェスター公演カラー35mmシーラブズユー/ツイスト&シャウト)との混同、ドイツ始めとするオデオン系アルバムタイトル アハードデイズナイト イエイイエイイエイからの影響、オデオン担当者はまだ曲聞く前にアルバムタイトルを決めざるをえず、一番女の子達に受けてたシーラブズユーの頭フリフリフレーズを入れたんでしょうか。まだご存命なら聞いてみたいものです。


この映画は、ジョージとSOMETHING/LAYLA奥様パティさんとの出会いの場としても大変重要です。パティさんは世界中にヨガや瞑想を広めるきっかけを作った人物。モデルさんで映画にエキストラで出演の当時20歳、出番は少ないけどかなり輝いている扱いなので、すぐにわかります。ジョージはきっとまじめな顔で「結婚してくれ、してくれないならデートしてくれ」といきなり映画同様リバプールなまり全開で口説いたそうです。パティさんには婚約者がいたのですが、アルバム発売以来ずっと1位の人気絶頂で初主演映画の主役からエキストラの自分に、こんな言葉をささやかれたら、デートはokしますよね。


予算の都合で白黒ですが、それがまたドキュメンタリー風で良いのです。最初のシーンは映画史上に残る名シーンで、エキストラもビートルズも全速力で走り、コケた所をそのまんま使っています。ビートルマニアの凄みが伝わります。ラストの絶叫シーンまでホントみたいな演出の連続。


ベストロン/ポニー盤、アナログ音声、定価¥8,800(物品税15%)、中古購入価格¥540 


レーザーディスクのアナログ音声はCXノイズリダクション推奨で、とても自然な音質で好きです。このアナログ音声の良さの秘密をわかる方がいたら教えて下さい?