夜、窓を開けていると
星が囁いてくる
男の星と女の星だ
ひんやりとした手が
肘の先っぽから登ってくる
まとわりつくように
心臓は一つ、大きく鳴る

あなたは哀しいのですね
二つの星が夜に蓋をし
僕の空虚をなぐさめる
ぽっかりと、ぽっかりと
雲を口にふくんだ
風が遠くに立ち込める

いや僕は、なんだか分からないうちに
狂ったままの物体なのです
さめざめと、さめざめと
こだまする雨の精霊たちの
捏ね上げた泥人形
僕の内臓は重たく沈み
鉛の貝を吐き出します
否応もなくもどすのです

通りすがりが嘆いてゆく
えも言われぬ憐憫が
僕の胃の腑をきりきりと
またきりきりと
丸鋸で痛めつけるので僕は
おちおち休めもしません
新たに入れ替わるはずの
空間から震えてしまうのです

ああがてんした、がてんした
この電灯一つうつむく小部屋
錆びたギターの横たわるこの窓べりに
あなたのよすがら居るわけが
哀しみも狂う夜ですね
初夏の空気はいよいよ冷えます

夜、張り詰めた街のざわめきが
星たちのすすり泣くように感じられ
眠りは牛乳瓶の中
新しい日の配達を待つ
僕は肘掛け椅子の上
ささやかな座興を楽しみ
神妙な色のブランケットに身を任す