このソフト、軽く10年は歴史があると思う。windows 9x の頃からなかったっけ?というぐらいの感覚。

Windows95が発売され、IT革命なのかイット革命なのかの時代の頃は、ソフトウェアの販売数も少ないし、正直有料、市販ソフトも非力だったので、有志による自分勝手で無責任を条件としたフリーソフトが普及した。開発は基本は個人で行われるので、シンプルで、小規模なものが多数。バグもあるけど、使う側の無料だからとあまり目くじらを立てない、そんな時代があったのを思い出した。


この記事のソフトもファイルのコピーに特化しているので、今の時代では玄人か、余程の事情がないとわざわざインストールしようと思うないと思うけど、ちゃんとまだ配布している、更新されている事に驚いたし尊敬する。もっとも開発者本人が欲しくて作っていると思うので、そんなものかな。


こうしたフリーソフトは以前よりかなり勢いが落ちていると思う。

理由は、①pcユーザーの裾野が広がり、クレーマーが増加した事、②githubのようなオープソースプラットフォームがずいぶん前から広がった事で開発が個人でおこなわれにくくなった(その程度のものはあまり必要がなくなった)。もちろんオープンソースベースのフリーソフトは今でもかなり多数あるし商用商品にも組み込まれているのは除く。③OSの機能が飛躍的に良くなったので、あえてフリーソフトに頼る必要がなくなった。大体こんなところ。


①については開発者にとっては頭痛の種で、無料公開しているのは善意というより、善意や承認欲求、就職にいかすためという側面があったのに、PC素人な人々がサポートを求めてくるために嫌気がさしたり疲弊してしまったという事。今風に例えれば、SNSで自分の力作の絵などの作品を公開したら、ボロカスに批判されたり、盗まれたりするのに少し似ている。「お前のソフトのせいでパソコンが壊れた、どうしてくれる」なんて言われたら、そもそも根拠も不明の主張に付き合うのもキツいし、始めから無責だと主張しているのに何を言っているのか?という気持ちなるのは当然だと思う。ちなみにこうしたクレームは日本のみならずグローバルで、しかも企業組織ですらつける事があるのだから驚く。


②はそのままだけど、もはや個人で何かをするような時代ではなく、何をするにもオープンソースを使う事になる。ライセンスの都合もあり、そうしたソフト自体もオープンソースになりやすい。またマインドとしてオープンソースに貢献することは社会貢献になったり、これも就職に有利にはたらいたりする。なにせ名前が残るから。


③は②の結果の側面もあるけど、個人開発レベルのことを企業ができないわけがなく、人気ソフトの機能は公式に盛り込むのはユーザーを繋ぎ止めるために有効だと思う。アイデアはそのままもってきたものもあるし、オープンソースを組み込んでいる場合もある。


そんなわけで、元の記事に書いた様な個人の小規模ソフトが更新されたというの現代としてはすごい事だなと思う。但し、記事に書かれている様に、このソフトの新規のはかなりの注意を求められる。記事にはインターネットからダウンロードしたものを扱わないという話があるけど、今時のそうした限定をつけることは難しい。またウイルスにやられていたら、感染していく先はインターネットからダウンロードしたものに限定されないので、この記事の注意喚起は浅はかと言わざるを得ない。さらに、この機能でコピーが9倍早くなるのは、ウイルスチェックのためにCPUが介在していたものがスキップされる事が中心のはずなので、例えばSDカードやUSBメモリ、ハードディスクのように、装置そのものがそこまで早くない場合は効果はもっと小さくなるはず。リスクが増大しながら不確定ならメリットを追うものだという事を使う人が理解しておく事が望ましいけど、できるのだろうか。

こうしたことからも、この機能はやはり開発者として欲しかったか、やってみたかったという側面が強そうな気がする。利用者はいかなる損害を受けても絶対に文句を言ってはいけない事を理解して試すものだと今時の人がどれだけわかるのかな、という疑問は頭に浮かんだ。