個人的村上春樹Best10 第7位  | [A] Across The Universe

個人的村上春樹Best10 第7位 

個人的村上春樹Best10 

第7位は







「蛍・納屋を焼く・その他の短編」







村上春樹の中でメジャーな短編集。

メジャーである理由は短編「蛍」。
この「蛍」こそ、あの「ノルウェイの森」の元になった短編だから。

短編であるにもかかわらず、「蛍」が心に残る理由は、私が先に「ノルウェーの森」を読んでいたせいかもしれない。

「蛍」には「ノルウェーの森」で深く感じることになる「生と死」の概念が濃縮されているからだ。

「ノルウェーの森」で感じた、底知れぬ死への不安と生への期待の「コア」がこの短編「蛍」には含まれているからだ。


 僕はそれまで死というものを完全に他者から分離した独立存在として捉えていた。つまり「死はいつか確実に我々を捉える。しかし逆に言えば、死が我々を捉えるその日まで、我々は死に捉えられはしないのだ」と。それは僕には至極まともで論理的な考え方であるように思えた。生はこちら側にあり、死はあちら側にある。
 しかし、僕の友達が死んでしまったあの夜を境として、僕にはもうそのように単純に死を捉えることはできなくなった。死は生の対極存在ではない。死は既に僕の中にあるのだ。そして僕はそれを忘れることはできないのだ。



「蛍」以外にも「納屋を焼く」、「踊る小人」、「めくらやなぎと眠る女」といった珠玉の短編を堪能できる。


人知れず、納屋を焼くことが趣味である青年と知り合ったが故に、近所の納屋が気にかかる「納屋を焼く」。


象工場に勤めながら、小人の力を借りて女性をものにしたはずが・・・「踊る小人」。


耳の悪い従兄弟を病院に連れて行くバスの中は老人だらけだった「めくらやなぎと眠る女」。


もう何度読み返したかわからないほどの短編集だが、何度読んでもその度に新鮮さがある不思議。

村上春樹のこのテイストがたまらなく好きだ。







螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社
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おすすめ度の平均: 4.0
3 初期のムラカミワールド
5 蛍しか読んでないですけど
4 私小説の終わりと、その後のワン・ディケイド。更に、それから。
4 やはり納屋を焼くが良い!
3 納屋を焼くがいい