個人的村上春樹Best10 第8位  | [A] Across The Universe

個人的村上春樹Best10 第8位 

個人的村上春樹Best10 

第8位は





「カンガルー日和」





村上春樹の短編には、長編とはまた違った趣がある。

短編特有の遊びをふんだんに盛り込みつつ、しかし彼独特の雰囲気は損なわれていない。



この短編の中でのお気に入りは、「ある晴れた日に100%の女の子に出会うこと」。
この短編作品だけで8位にする価値がある。

この話は「昔昔」で始まって、「悲しい話だと思いませんか」で終わる。
私が村上春樹の短編の中で、もっとも好きな短編のひとつだ。

なぜなら彼の小説のテーマは「生死」、「恋愛」がほとんどであり、そのうちの「恋愛」の部分のエッセンスがこの「100%」に濃縮されているからだと思う。




それは傍から見るととても不確かで、しかし自分の感性の中では確信に近い。

でも相手はどうなんだろう、と考え始めると不安で仕方ない。
と書いてしまうとただの普通の恋愛なんだが、本人にとってはかなりドラマティック。

期待、確信、不安、葛藤、落胆。

こんな要素が短い物語の中にうまく詰め込まれ、春樹ワールドを堪能できる。

今まで20年にわたって何度読み返したかわからない(少なくとも10回以上)が、何度読んでもすばらしい。



4月、晴れた朝、原宿の裏通り、花屋の前。

遠くからやってきたのは、僕にとってはまさしく100%の女の子だった。
一般的な美人ではないけれど・・・



他の短編の中には「羊をめぐる冒険」に出てくるいくつかのシーンを見つけることができる。

雪の降る札幌の町、そして羊男。


長編の断片を見るようで、ファンとしてはやっぱり楽しい。





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