ぼくは うみがみたくなりました / 山下久仁明 | [A] Across The Universe

ぼくは うみがみたくなりました / 山下久仁明

遅くなりましたが、本年もよろしくお願い申し上げます。

書評というのにはおこがましく、すっかり自分が読んだ本の備忘録blogと化しています。
音楽もかなりの数を毎月仕入れてはいるのですが、書く暇もなく。
当面はこんな形でのblogを続けさせていただきます。

立ち寄ってくださった方、ありがとうございます。
ほんの少しでも参考になれば幸いです。



今年最初は、この本。


この本は「障害」をテーマにしている出版社である「ぶどう社」から出版されている。
自閉症をテーマにした小説だ。
著者の山下さんは、自閉症の息子さんを持っているため、おそらく細部にわたって正確に描かれているに違いない。

淳一。
20歳前で自閉症。
車の普通免許の学科試験問題集を解くのが趣味。
答えは正確。
一日に解く問題数もこだわりがある。
好きな車は緑のステップワゴン。

そんな彼が、看護師見習い中の明日美とドライブに出ることになる。


知らない人についていってはいけません。

この女の人はいい人です。

ステップワゴンに乗っている人です。

ぼくは海が見たくなりました。



二人の珍道中は、淳一の幼稚園時代の園長先生夫妻をも巻き込んで、とんでもない方向へ走り出す。

淳一の心の語りが描かれる部分は秀逸。

実態を良く知らない私たちにも、彼らの感情が手に取るようにわかる。

今までよりも優しく彼らのことを見守ることが出来るような気がする。

園長先生の言葉も深い。


「ボクはね、みんながもっと普通に考えられないのかな、ってどうしても思うんだ。
ハンディを持った子は自閉症やダウン症だけでなく、いろんな種類の症状を持っていて、それを合計すると、100人に1人は生まれてくる計算になる。約1パーセントだ。でもって生物学的に見ると。人間はまだまだ進化を続けている生物で、そういう生物が子孫を残すときには、必ずこのぐらいの確率でハンディを持った子孫が生まれてくるらしい。ということは、この数字は人間が人間として生き続けるためには変えられない数字なんだ。そのことをね、もっと大勢の人に知ってもらいたいとボクは思う」





ただ、知的障害を持つ人の犯罪が報道されるたびに心は揺れる。

この本に出てくるように、周囲の方々は心を削って日々彼らのために頑張っている。

政策としても、彼らを出来るだけ社会に溶け込ませる方向だ。

その一方で、悲しい犯罪も起きている現実。

どうすれば良いのか、答えが見つからない。

ただただ悲しくなるだけだ。




ぼくはうみがみたくなりました
山下 久仁明
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