壊れゆく医師たち 岩波ブックレット | [A] Across The Universe

壊れゆく医師たち 岩波ブックレット

医師不足は切実な、また身近な問題として危機感を覚えている。
娘が通う病院でも、重い症例の多い科の医師の人数が目に見えて減ってきている。
その病院を含む基幹病院では、激務のために看護師の退職が多い、と新聞記事にもなっていた。

もっと費用負担しますから、「お願いですからやめないでください先生」と言う気持ちになる。

特にニュース等、最近話題にのぼる産婦人科医の不足。
実は、分娩あたりの産婦人科医の人数は昔と比べて減っていないのだという。
それでは何が問題化というと、出産の高齢化に伴う分娩のハイリスク化。
40歳を超える出産も珍しくない現在、一例ごとの分娩が以前にも増して医師のエネルギーを奪うことになっているのだそうだ。

それに加えて、医局制度の弱体化。
大学病院を頂点とする、関連病院への医師派遣機能が低下してしまったが故の医師不足も背景にはある。
医師の当直明けの外来診察などがあることは知っていたが、当直が無給で行われていることは初めて知った。
医は仁術だとは思うが、医師をボロボロにしては本末転倒。
当直からくる肉体疲労に加えて、無給であるため他の病院でのアルバイトが必要になる。
この制度の改正のために研修制度を取り入れたものの、現在のところうまく機能しているとは言いがたい。

ここはひとつ、制度変更を行った厚生労働省に考えてもらうのは当然として、我々国民も世界に誇る「国民皆保険制度」の維持のために、医療費の抑制と適切な医療費の上昇には理解を示さなければならないのだと思う。

盲腸の手術のために、海外の病院に行くような事態になることだけは避けなければならない。





壊れゆく医師たち (岩波ブックレット NO. 718)
岡井 崇
岩波書店
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4 読みやすく、為になる。