ママでなくてよかったよ / 森下純子 | [A] Across The Universe

ママでなくてよかったよ / 森下純子

壮絶な闘病記。
しかし、強烈な生のエネルギー。

不倫を乗り越えて結婚し、子供も授かったものの、そこに待っていたのは夫の理不尽なDVだった。
やっとのことで家を飛び出し、夫に悟られないように子供の名前まで改名。
やっと落ち着いたかに見えた生活は、息子が小児がんになったことにより、親子二人の闘病生活に変わっていく。

小学1年生。
まだ6歳。
そんなシゲに母親はがんの告知をする。
たった二人、一心同体で生きてきた母子だからこそできる告知。
そこからシゲは気力を振り絞って治療を続ける。

辛い検査が続き、ぐったり疲れきったシゲを見て母親は号泣する。
そんなときだった。
シゲは点滴につながれた腕を持ち上げ、母親の頭をなでながらこう言うのだ。

「ママでなくてよかったよ」

自分ががんだと知っていて。


この本が発刊された当時、子供に告知を行う是非について論争になったという。
しかし、この本を読んでわかるのは、最後の最後まで親子で二人三脚で病気に立ち向かった、ということだ。
この親子だったからこそ、告知を行った上で運命を受け入れることが出来たのかもしれない。

余命3ヶ月の宣告を受けた時も、母親はシゲに余命を伝え、治療法を選択させる。


「絶対にがんばるもん! せめて15年でもいいから、せめて生きたい!」

「あと、15年かぁ・・・。希望的観測だなぁ、シゲ。15年分生きようよ。短いかもしれないけれど、15年分燃焼すればいいじゃん!」

「15年分かんばるもん!」

「15年分頑張ろうよ! ママだって死んでもらいたくないよ! 大事な命だもん! じゃあ、シゲの意思を尊重して、治療する。それでいいね。」

「うん!」

「はい! 決定! 頑張るんだよシゲ! 弱音を吐くなよ!」

「お友達と遊ぶんだもん!・・・・・・・・」

「ママと二人で頑張ろう! 指切りげんまんしよう!」

「指切りげんまん、うそついたら・・・・・・どうしよう?」

「・・・・・・ママを置いていかないでください・・・・・・一分でも一秒でも長く生きてね」





読み終えて、何度も何度も自分の娘を抱きしめた。
お願いがひとつだけあります。
パパよりも長生きしてください。






森下 純子
ママでなくてよかったよ―小児がんで逝った8歳 498日間の闘い (朝日文庫)