小さな人生論 / 藤尾秀昭 | [A] Across The Universe

小さな人生論 / 藤尾秀昭

私が愛読する月刊誌、「致知」。
月刊「致知」は特集主体が編集方針だが、その記事の前には社長であり編集長である藤尾氏の短いながらも深い総リードが書かれている。
私はいつもその総リードを読むたびに背筋が伸びる。
その総リードを集めて出版したのがこの「小さな人生論」。

「魅力」という項目。

明治初期の話。
山岡鉄舟が清水の侠客次郎長親分に、
「お前にはたくさん子分がいるが、お前のために死ぬ子分は何人いるか」と聞いた。
「私のために死ぬ子分など一人もおりません。だが、子分のためなら私は死ねます」
これが次郎長の答えであった。



「涙を流す」という項目。

荒崎良徳さん(雲竜寺住職)には登校拒否の経験がある。
・・・・・・・
養護施設、林鐘園の園長を務めたとき、登校拒否の子供を預かることになった。荒崎さんはその子と二人だけで話をした。
「学校に行かないで、どこにいたんだ?」
子供はポツリと答えた。
「町外れの土管の中にいた。」

途端に荒崎さんの胸に、学校に行けなかった日の侘しさ、寂しさが切なくこみ上げてきた。
荒崎さんは思わず言った。
「そうか。つらかったなあ。」

子供は一瞬、驚いたように荒崎さんの目を見た。と、にわかに荒崎さんの手をつかみ、大声で泣き出した。堰を切ったような、張り裂けるような泣き声だった。



ちゃんと生きよう、これからも。
そんなことを改めて思い返させてくれる素晴らしい本だ。





藤尾 秀昭
小さな人生論―「致知」の言葉