蕎麦屋のしきたり | [A] Across The Universe

蕎麦屋のしきたり

「有楽町 更科」の四代目が蕎麦屋について「べらんめぇ口調」で語る。

藤村和夫氏、1930年東京生まれ。
おそらく、インタビューしたものを書き起こしてまとめたものなのだろう。江戸っ子の語りを思う存分楽しめる。

粋なんだな。

題名は「しきたり」だが、内容はそれほど堅くなく、半分薀蓄、半分裏話といった感じ。


・蕎麦はもともと補助食だった。敗戦後の食べ物がない時期にサラリーマンが昼食にしたのが、主食の始まり。

・敗戦後の米軍占領下では、「不衛生だから」と手うちは禁止され、蕎麦は機械打ちだった。せいろも消毒できないからと、器は皿にさせられた。

・蕎麦屋の腕がはっきりわかるのは「玉子とじ」。他の種物のように、出し汁にごまかしがきかない。

・蕎麦の汁は、「かつお節の良い香り」がしてはいけない。蕎麦の香りの仇になる。「何の味も際立たないで、おいしい汁」につけてこそ、蕎麦の味がわかる。


もともと、重労働者に食事と酒を提供するのが蕎麦屋だったのが、最近ではすっかり文化の粋に達しつつある。しかし、蕎麦はまだ「立ち食い」があるだけ庶民っぽさが残っているが、寿司は庶民向けといえば「回るやつ」だ。シャリを握るのはロボットだ。

蕎麦屋は食事の時間がないときに「ちょっと蕎麦食ってくらぁ」ってな感じの存在でいて欲しい。
せいろが¥1,000の店だと「ちょっとすすってくる」ではなくじっくり味わってしまう。

ところで落語も少し人気が出てきたみたいだし、次は蕎麦ブームなんて来ないだろうか。

藤村 和夫
蕎麦屋のしきたり