成りあがり 矢沢永吉
あー偏見があったから若いうちに読めなかったんだよなー、永ちゃんの「成りあがり」。
どうしても「ヤンキーの愛読書」というイメージばかりが先行していたので、「絶対読まない!」と思っていたのですが、文庫本を買って暇つぶしのつもりで読んでみたら・・・あっと言う間に矢沢に引き込まれてました。
この年になって初めて読んでみたら、最高でした。
彼は本物なかの本物です。それもこの本が出たのは彼が28歳のときですから・・・矢沢は本物のスーパースターです。
矢沢は恵まれた少年時代を過ごしたわけではなかったようです。
母は失踪し、父を早く亡くし。頼れるのはおばあちゃんだけでした。
「おばあちゃん、オレ誕生日なんだ」
「それがどうした」
でもおばあちゃんは特別に誕生日を祝ってくれた。
「今日は卵がふたつ入ってる」
「そうだよ誕生日だからね。永吉、よく聞け。卵と思って食うな。ニワトリ二羽殺してくれたと思え」(P21)
高校を出て、矢沢は東京を目指す。
金に苦労しながらアマ・バンドで実力を見せ付け、徐々に徐々にスターへの道を上り始める。奥さんも捕まえるけど、まだアマチュア、お金は苦しい。矢沢のバイトだけでは食えないので奥さんの実家から米を分けてもらっていた。
アイスクリーム屋でのバイト、1日2千円。
5日働いて1万円の給料を前借する。この1万円を奥さんに見せたい・・・
でも帰りの家までのバス代がない・・・バス代30円を引いた9,970円を持って帰った。
「すみ子、ほんとは1万円もらったんだけど。お前に札渡したかったけど、バスで・・・」(P185)
奥さんは矢沢の言葉にワンワン泣いた。彼は絶対ビッグになると改めて誓う。
あるとき、20年消息不明だった母親と連絡がつく。母親は他に家庭を持ち、裕福な生活をしていた。貧乏な矢沢夫婦には家電製品を買ってそろえて帰っていった。しかし、ほどなく若くして母親は亡くなる。矢沢は2ヶ月も実の母親の死を知らなかった。
母親の最後の言葉は「川崎の市川さん(矢沢永吉のこと、彼らは母親の現在の生活に遠慮して偽名で連絡をとりあっていた)、にお世話になったので積み立ててある50万円を渡して欲しい」
矢沢
「最後の一言にオレのことを言ってくれただけで、ほんとうにうれしい。ほんとに十分だ。先方に言ってくれ、もう一切気にするな。関係ない話だ」(P206)
矢沢は世間に目一杯ケンカを売りつつ、でも心の奥は人間に対する優しさに溢れている。
たとえば今でも争っている風のジョニー大倉に対して。
「ジョニーってすっごくいいやつなのよ。オレ、知ってるの。あいつ、優しいやつって。あいつは涙もろくて泣ける男なの。」(P241)
でもこの優しさが後々オーストラリアの土地の詐欺に引っかかってしまう原因となったのかもしれません。
矢沢は人間社会の洞察力も並外れています。この本が出たのは彼が20代ですから。
「今の愛情は、だいたい金で買えるね。女の愛情も、金で買える。言っちゃ悪いけど。」
「・・・ほんとは銭じゃないのよ。ほんとは銭じゃない。オレに、こんなに銭だって思わせた何かに腹立ってる」(P26)
デール・カーネギーの【人を動かす】
「10回くらいリフレインで読んだよ、えらい気に入ってね、キザに友だちの誕生日に贈ったりしたよ。無意識のうちにためになってるみたい。」(P64)
「グレるってこと、どういうことか知ってる?うん、はぐれるってことなんだ。群れから離れる。はぐれる淋しさ。のけもの。先に道がないんだ。ところが、いまの確立した社会では、その社会の動きを邪魔する行為をグレるっていう。ほんとは違うんだ、はぐれるなんだよ」(P280)
本当に盛りだくさん、これで文庫本540円。
これは間違いなくバリバリの自己啓発本です。
私が間違って認識していたような、成り金礼賛物語ではありません。
若者みんなに読んで欲しいです。出版社ももう少し売り方を考えてはいかがでしょうか>角川さん
もうひとつすごーく驚いたこと。
この本は基本的に矢沢が話した事をまとめているわけですが、矢沢に付きっきりでついて回って、話を聞き出して、この本に纏め上げた人物とはなんと・・・糸井重里!
この本が出たのが昭和53年。糸井さんはこの頃から人の話を引き出す天性の才能があったわけです。
この「成りあがり」は矢沢と糸井という二人の天才によって作り上げられた、日本でも指折りの自己啓発本でもあるわけです。
どうしても「ヤンキーの愛読書」というイメージばかりが先行していたので、「絶対読まない!」と思っていたのですが、文庫本を買って暇つぶしのつもりで読んでみたら・・・あっと言う間に矢沢に引き込まれてました。
この年になって初めて読んでみたら、最高でした。
彼は本物なかの本物です。それもこの本が出たのは彼が28歳のときですから・・・矢沢は本物のスーパースターです。
矢沢は恵まれた少年時代を過ごしたわけではなかったようです。
母は失踪し、父を早く亡くし。頼れるのはおばあちゃんだけでした。
「おばあちゃん、オレ誕生日なんだ」
「それがどうした」
でもおばあちゃんは特別に誕生日を祝ってくれた。
「今日は卵がふたつ入ってる」
「そうだよ誕生日だからね。永吉、よく聞け。卵と思って食うな。ニワトリ二羽殺してくれたと思え」(P21)
高校を出て、矢沢は東京を目指す。
金に苦労しながらアマ・バンドで実力を見せ付け、徐々に徐々にスターへの道を上り始める。奥さんも捕まえるけど、まだアマチュア、お金は苦しい。矢沢のバイトだけでは食えないので奥さんの実家から米を分けてもらっていた。
アイスクリーム屋でのバイト、1日2千円。
5日働いて1万円の給料を前借する。この1万円を奥さんに見せたい・・・
でも帰りの家までのバス代がない・・・バス代30円を引いた9,970円を持って帰った。
「すみ子、ほんとは1万円もらったんだけど。お前に札渡したかったけど、バスで・・・」(P185)
奥さんは矢沢の言葉にワンワン泣いた。彼は絶対ビッグになると改めて誓う。
あるとき、20年消息不明だった母親と連絡がつく。母親は他に家庭を持ち、裕福な生活をしていた。貧乏な矢沢夫婦には家電製品を買ってそろえて帰っていった。しかし、ほどなく若くして母親は亡くなる。矢沢は2ヶ月も実の母親の死を知らなかった。
母親の最後の言葉は「川崎の市川さん(矢沢永吉のこと、彼らは母親の現在の生活に遠慮して偽名で連絡をとりあっていた)、にお世話になったので積み立ててある50万円を渡して欲しい」
矢沢
「最後の一言にオレのことを言ってくれただけで、ほんとうにうれしい。ほんとに十分だ。先方に言ってくれ、もう一切気にするな。関係ない話だ」(P206)
矢沢は世間に目一杯ケンカを売りつつ、でも心の奥は人間に対する優しさに溢れている。
たとえば今でも争っている風のジョニー大倉に対して。
「ジョニーってすっごくいいやつなのよ。オレ、知ってるの。あいつ、優しいやつって。あいつは涙もろくて泣ける男なの。」(P241)
でもこの優しさが後々オーストラリアの土地の詐欺に引っかかってしまう原因となったのかもしれません。
矢沢は人間社会の洞察力も並外れています。この本が出たのは彼が20代ですから。
「今の愛情は、だいたい金で買えるね。女の愛情も、金で買える。言っちゃ悪いけど。」
「・・・ほんとは銭じゃないのよ。ほんとは銭じゃない。オレに、こんなに銭だって思わせた何かに腹立ってる」(P26)
デール・カーネギーの【人を動かす】
「10回くらいリフレインで読んだよ、えらい気に入ってね、キザに友だちの誕生日に贈ったりしたよ。無意識のうちにためになってるみたい。」(P64)
「グレるってこと、どういうことか知ってる?うん、はぐれるってことなんだ。群れから離れる。はぐれる淋しさ。のけもの。先に道がないんだ。ところが、いまの確立した社会では、その社会の動きを邪魔する行為をグレるっていう。ほんとは違うんだ、はぐれるなんだよ」(P280)
本当に盛りだくさん、これで文庫本540円。
これは間違いなくバリバリの自己啓発本です。
私が間違って認識していたような、成り金礼賛物語ではありません。
若者みんなに読んで欲しいです。出版社ももう少し売り方を考えてはいかがでしょうか>角川さん
もうひとつすごーく驚いたこと。
この本は基本的に矢沢が話した事をまとめているわけですが、矢沢に付きっきりでついて回って、話を聞き出して、この本に纏め上げた人物とはなんと・・・糸井重里!
この本が出たのが昭和53年。糸井さんはこの頃から人の話を引き出す天性の才能があったわけです。
この「成りあがり」は矢沢と糸井という二人の天才によって作り上げられた、日本でも指折りの自己啓発本でもあるわけです。
