せんせいの「せ」の字は | [A] Across The Universe

せんせいの「せ」の字は

北海道の東側のへき地育ちのため、中学校の修学旅行は札幌に2泊3日だった。なにせ全校生徒が20人足らずの学校のため、修学旅行は2年に1回、2年生と3年生が一緒に行くのが恒例だった。私たちは運良く3年生のときが修学旅行だった。

特急で札幌まで5時間。時計台やら羊が丘展望台やらビール工場やらを回って初日の夜。私を含め農家の子供が多く地元から出た事がない奴らばかりのため、ホテルと言う非日常空間に興奮し、夜は枕投げから始まって、「徹夜で語り明かすぞ」と言って栄養ドリンクを飲んだっけ。

そんな中、3年が、2年の奴に「せんせいの『せ』の字をやれ!」と言い出した。一同意味がわからず、ボケーッとしてるとそいつが「こうやるんだ」と言って尻を振って字を書き出したのだ。今でこそお座敷遊びの一つだとわかるが、当時何も知らない私たちは、修学旅行の非日常空間の中、男達だけでしばらく盛り上がりまくったのだった。


「せんせいの『せ』の字はどう書くの!」

「あ、それ、こう書いて、こう書いて、こう書くの!」


男達だけで何をやっていたのやら・・・でもね、地域には個人商店しかなくて、町に出るには車で1時間近くかかる場所に住んでて、非行の仕方もわからない田舎少年達が、札幌という北海道の大都会に出てきた気持ちの高揚を、東京に住んで10年以上経つ今でもありありと思い出せるのだ。


突然こんな事を書いた理由は、今日の夜空は雲ひとつなく、半分の月が綺麗だったから。

「せんせいの『せ』の字」をやってたときに、半分ケツを出すと「半月」、全部ケツを出すと「満月」と言っていたのを意味もなくふと思い出したから。

酒を飲んだり、タバコさえいたずらせずに、こんなことで盛り上がっていたあの頃の自分達は確かに可愛いい奴らだった。