南海地震は2035年前後、それより早く来るのは、今千葉沖で頻発している地震から

首都直下地震になる関東大震災の前触れかもという。頭の片隅に入れておきましょう。

 

最新情報では

 不穏な揺れが頻発している。
3月2日から9日の約1週間で、日本各地で起きた震度1以上の地震は79回にのぼる。
とくに活発なのが千葉県で、2月下旬から南部や東方沖を震源とする震度1以上の揺れが40回以上発生。3月9日には震度4の地震が同県を襲った。
元東京大学地震研究所准教授で、深田地質研究所客員研究員の都司嘉宣(つじよしのぶ)氏が語る。
「ここまで地震が続発するということは、地下で何か大きなことが起きているのでしょう。以前とは違う状態です。巨大な地震の予兆である可能性はありえます」
    ----ーーーーーーーーーーーー 大地変動の時代 と云われている
千葉の地震の原因と考えられるのが、プレートや断層がゆっくり滑るスロースリップだ。恐ろしいのは、現在の状況が過去に起きた巨大地震の直前と酷似していること。’11年3月の東日本大震災や今年1月に起きた能登半島地震の前にも、スロースリップによる地震が多発していたのだ。東大名誉教授で地震学者のロバート・ゲラー氏が指摘する。

「そもそも地震発生のメカニズムは複雑で、今の科学では予知できません。いつどこで大地震が起きてもおかしくない。ただ群発地震が起きている場所の近くで大地震の起きる確率が多少上がることは、統計学上明らかになっています」

国土地理院によると、千葉のスロースリップによりプレートの境界が2㎝ほど南東に動いたという。最も危惧(きぐ)されるのは首都直下型地震だ。

都司氏が語る。
「震源が、さらに南東に移動したら要注意です。首都直下型地震を起こす相模トラフや日本海溝、伊豆・小笠原海溝の三重会合点を刺激することになりますから」
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 今後30年の間に70%の確率で発生するといわれる首都直下地震。千葉県沖で頻発する地震の影響でそのXデーに注目が集まっている。そんななか、政府が触れないデータが明らかになった。

【完全図解】首都直下地震はどこで発生するのか?

 わずか9日間で36回──これは、2月26日以降に発生した千葉県沖を震源とする地震の回数だ。そのうち3回は震度4の大きな揺れを観測した。

 能登半島を襲った元日の大地震の記憶も生々しい中、今度は房総半島に巨大地震のリスクが迫っている。

「同じエリアで地震が頻発しているのは、陸側のプレート(厚い岩盤)がゆっくりとずれ動く『スロースリップ』と呼ばれる現象が起きているためと考えられます。この現象は千葉県東方沖の周辺で一定の周期で発生しており、過去のケースでは数か月地震が続きました。最大震度5を観測したこともあります」(東京大学地震研究所教授・小原一成さん)

 

 スロースリップは東日本大震災(2011年)の前にも観測されており、巨大地震発生のシグナルと考えられる。同現象で繰り返し発生する「群発地震」を危険視する専門家も少なくない。立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学さんもそのひとりだ。

「能登半島地震や熊本地震(2016年)でも、大地震発生の少し前から周辺の地域で群発地震が起きていました。さらに、大正時代の関東大震災(1923年)の発生前にも、房総半島周辺や神奈川県西部で地震が相次いで発生していたという記録が残っています。千葉県沖の群発地震は、大地震発生の危険性が高まっていることを意味しています。数週間から数か月以内に、関東地方で大きな地震が発生する可能性があります」

 恐怖を助長する、不気味なデータもある。

 東海大学と静岡県立大学で客員教授を務め、日本地震予知学会の会長でもある長尾年恭さんが解説する。

「千葉県の房総半島沖では1912年、1950年、1987年にマグニチュード(以下、M)6以上の大地震が37〜38年周期で繰り返しています。偶然との見方もありますが、今年は前回の地震から37年目に当たるのです」

 房総半島沖でM6以上の地震が発生した場合、房総半島の震源近くは震度6弱から6強、東京23区も場合によっては震度5強ほどの強い揺れに襲われるという。過去3回の地震は、M6.2(1912年)、M6.3(1950年)、M6.7(1987年)と徐々に地震規模が大きくなっているため、次の地震がM7クラスになるのではとの見方もある。長尾さんが続ける。

「万が一、房総半島沖でM7クラスの地震が発生すれば、首都直下地震が誘発されることも考えられます。政府の地震調査委員会は千葉県沖の群発地震に関して、“5〜6年周期のスロースリップ現象”についての見解は発表していますが、“37〜38年周期”の地震には言及していません。不安をあおり混乱を招きたくないという考えがあるのかもしれません」

 つまり今年か来年に、首都直下地震が発生する可能性があるのだ。

 

「首都直下地震」とは、東京都や近隣県の内陸を震源とするM7クラスの地震を指す。政府は「30年以内に70%」の確率で発生するとしている。

迫りつつある令和の関東大震災

 内閣府の中央防災会議は2013年に首都直下地震の被害想定を公表。緊急性の高い19か所の震源を特定して警戒を呼び掛けている。

 最も甚大な被害をもたらすのは、品川区と大田区の境界付近を震源とする「都心南部直下地震」(M7.3)だ。同地を震源とする地震が発生した場合、東京の江戸川区と江東区は震度7を記録。東京のほかのエリアや、千葉、埼玉、神奈川で震度6強と予想されている。最悪の場合、首都圏全体の想定死者数は2万2400人、負傷者は12万3000人、避難民は720万人にのぼる。

 危惧されるのは、内陸で起こる「直下型」だけではない。群発地震を発生させているプレートを震源とする「海溝型」が発生した場合も、首都圏は甚大な被害に見舞われることになる。大正時代に10万人以上が犠牲になった関東大震災も、相模湾から房総半島南東沖に位置するプレートが引き起こした海溝型地震だった。

「海溝型も直下型もプレートの動きによって引き起こされます。日本の首都圏は3枚のプレートが重なるところに位置しており、どのプレートが動いても大地震につながる可能性がある。それぞれが連動して、直下型と海溝型が同時多発的に発生する可能性もあるのです」(高橋さん)

 千葉県沖の群発地震は、プレートの動きが活発化していることを示している。今年に入り、関東地方各地での地震も増えている。「令和の関東大震災」は、いつ起きてもおかしくないのだ。

 最大震度7の大地震が首都圏で発生した場合、どのような被害が考えられるか。

 能登半島地震では「地すべり」によって多くの家屋が倒壊したが、高橋さんによれば、都心部でも同じことが起きる可能性があるという。

「火山灰の関東ローム層に覆われた東京の山の手エリアは、実は地震による地すべりが起きやすいエリアでもあります。特に、坂の下に位置する渋谷駅周辺などは危ない。渋谷駅に向かって地すべりが発生し、大惨事になる可能性があります。東日本大震災の際に、帰宅しようとする人が渋谷駅に押し寄せましたが、あれは危険な行動なのです」

 激しい揺れによって木造家屋は軒並み倒壊し、火の海が広がる。市街地では「火災旋風」という火炎の竜巻が発生することも考えられる。前出の内閣府の資料によると、全壊または焼失する建物は関東で最大61万棟に達し、想定死者数の約7割が火災により亡くなるとされている。

地下鉄のホームで感電死する

 深刻な液状化現象にも見舞われる。神戸大学都市安全研究センター教授の吉岡祥一さんが指摘する。

「強い地震の揺れにより、地中でバランスが取れていた砂と水の関係性が崩れることで液状化現状が発生します。都心南部を強い揺れが襲えば、東京湾岸の埋め立て地や河川の沿岸部などを中心に液状化するとされています。ベイエリアに立ち並ぶタワーマンションにも深刻な被害が出る可能性は否定できません」

 東京都が2022年5月に公表した首都直下地震の「災害シナリオ」によると、湾岸地域では液状化により約1500棟が居住困難になるとされている。

 東日本大震災では約2万人が亡くなったが、その大半は「津波」による犠牲者だった。もし相模トラフの周辺を震源とする地震が発生すれば、首都圏を大規模な津波が襲うことも考えられる。地震発生から5〜10分ほどで、お台場や豊洲などの湾岸地域、銀座、有楽町、品川など東京の南東部に津波が到達するという。

「津波は陸地に到達後、秒速10mほどのスピードで移動します。人間の足では逃げることは不可能で、数cmの高さでも足をすくわれて流されてしまいます。地下街や地下鉄のホームにも流れ込む。地下鉄は高圧電流が流れているので、海水が入り込めば感電死する危険性もあります」(高橋さん)

 津波は河川を遡っていくため、東京の下町エリアなども危険だ。堤防が決壊すれば洪水が起き、大きな被害に見舞われることになる。

“海なし県”の住民も安心はできない。例えば津波が利根川を遡上すれば、群馬県付近にまで到達する。その場合、埼玉県の春日部市や幸手市周辺も大きな被害が出るとみられている。

 千葉県沖周辺の群発地震によって懸念されるのは、首都圏を襲う大地震だけではない。長年の脅威である「南海トラフ地震」を引き起こす可能性もある。

「群発地震は千葉県南部でも起きていますが、原因となっているプレートは、南海トラフ地震を引き起こすプレートと同じものなのです。このプレートの動きが活発化しているということは、南海トラフ地震の発生リスクも高くなっているということです」(高橋さん)

 政府は南海トラフでM8〜9クラスの巨大地震が発生する確率を、「30年以内に70〜80%」としており、死者32万人以上、経済被害も220兆円を超えると想定している。

 南海トラフの東端の近くには相模トラフが存在するため、2つの地震が連動することも予想できるという。

「南海トラフと相模トラフが連動すれば、その被害は太平洋側の茨城県から沖縄県にかけて広範囲に及びます。私はそれを『スーパー南海地震』と名付け、近年警鐘を鳴らし続けています。試算では50万人以上の死者が出て、その大半は津波によって犠牲になると予想しています」(高橋さん)

 巨大地震が日本列島を襲う日は確実に迫っている。

※女性セブン2024年3月21日号