島根県の丸山知事は、2月17日に開いた東京五輪聖火リレーの実行委員会で、現状のまま五輪が開催されれば、感染の第三波と同じように感染拡大を招きかねないと主張。「アスリートやランナーの気持ちを考えれば心苦しいのではあるが、今の状況が続く限りでは、五輪とそれに繋がる聖火リレーの開催は賛成できない」と発言した。

首都圏や多の大都市圏の著名な知事にあきれてものが言えない人が多いのだが、地方には骨がある知事がまだ存在するのだ。日本が代わるときって、大都市よりも地方から何かが動くことが多い。戦国時代然り、幕末維新の時代なんてまさに薩長の西南雄藩や福井、水戸、それに抗する奥羽越の酒田庄内や長岡など。
丸山さんという方は、勇気をもって現実を捉え、あえて発言したのだろう。この状況で五輪を開くこと自体、普通に考えれば狂気の沙汰であることは明白である。政府首脳部や五輪関係者、そして首都圏その他の知事たちが口をつぐむ、あるいは五輪開催にかじを切ろうとする中、本当に正論だし、よくぞ発言してくださった!という思いでいっぱいだ。

島根県内に聖火ランナーが走れば、沿道に人が集まり、感染リスクが高まるのは当然のことである。島根県は大都市圏に比べれば人口が少ないし、感染者数も少ない。
しかし、だからこそクラスタ-的に感染者数が増えてしまったら、人口過疎で医療体制が脆弱な島根県下では対応が極めて難しくなる。県民の命・安全を守るという意味においては、当然の発言だし、文句おいわれる筋合いはないはず、なのだが。

これにかみついたのが、同じ島根県から出た竹下亘。自民党の幹部的議員であるが、「(島根県知事の)発言は不用意だ。これに注意する」と、いかにも上から目線。中央の議員が地方に命令するといわんばかりの。
どうも、同じ自民党系列の二人でありながら、竹下にとって丸山知事は政敵なのだそうだ。それもあって、アピール的に発言した可能性も高いという。だが、この発言は正直不愉快極まりない。
意見の相違というだけならまだわからなくもないが、注意するとは何事か。自民党国会議員の驕りではないか、としか思えない。
西村経済再生担当大臣は、「地方に高い交付金を与えているから、それをどう活用するかは地方次第」などと発言したが、これは「お上にたてつくと金やらねーぞ」と言っているに等しいのだ。

それにしても、この東京五輪、開催反対している人間は8割以上いるらしい。この中には無論、私も入る。
世論がここまで反対しているのに、強引に開催しようとすること自体、余りにも世論を無視しすぎており、何が国民のための政治、国民のために働くだ、といいたい。
丸山知事は、恐らくそのあたりの世論も十分にわきまえていると思う。当たり前のことを当たり前に発言する、これは丸山知事の英断である。
だが、これが「英断」と言わざるを得ない状況こそ、憂慮すべきだと思う。これが今の日本の現状なのだろう・・・。

(日時指定投稿です)

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