「現人神」は「全知全能のゴッドがこの世に生きていて天皇として立っている」という意味では全然なくて、さきに見たように、天皇の"まごころ"を国民側から讃えた言葉であり、かつその意味は、「生きておられる方としては、他に比類なきほどの"まごころ"の持主であられる」との意味であったのである。
それには、歴代天皇がたが「神」についてお詠みになった無数の"御歌"を拝することが最も正確な方法の一つであろう、とおもう。歴代の天皇がたが、つねに"皇祖皇宗の神霊"をいつきまつられ、日々夜々、二千年以上の歴史を一貫して御祖先の尊い御志をうけつがれたことこそ、世界に類を見ない祭政一致の御実践であられたのみならず、天皇政治の本旨が、権力者流の権力依存のものと、つねにまったく別のものであった根源をもなしてきた原因であったのである。
小田村寅二郎『日本思想の源流:ー歴代天皇を中心にー』Kindle版、国民文化研究会
(本文からの抜き書きと、本掲示のタイトル付けは伊勢雅臣が行っています)